2017年12月05日
レオンハルトの功績、古楽復興に懸けた生涯と演奏活動
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オランダの古楽学者でピリオド鍵盤楽器奏者グスタフ・レオンハルト(1928-2012)の功績は、古楽器によるバロック音楽が演奏されていた当時の奏法を能う限り忠実に再現するパイオニアとして、またいわゆるピリオド・アンサンブルの基礎を築いたことである。
彼の楽理的解釈に基いた頑固なまでのオリジナリティーへの追究だけでなく、一方でその革新的で自在に模索された音楽観は、特にネーデルランドでブリュッヘンやクイケン兄弟などの多くの後継者を育てることにもなった。
バロック音楽復興黎明期に爆発的に流行したイ・ムジチ合奏団に代表されるモダン楽器での演奏とは常に一線を画した再現は、やがてヨーロッパだけでなくアメリカやカナダにも根を下ろすことになる。
広く一般に鑑賞されるようになるには時間を要したことは確かだし、その後モダン・バロックに鮮やかに取って代わるピリオド・アンサンブル隆盛期の到来は当時としては全くイメージできなかったに違いない。
オルガンは教会の中で絶えることなくその存在を維持し続けたがチェンバロに関しては、オリジナル楽器は博物館を飾る調度品に成り下がっていたし、それを修復できる専門職人も少なく、途絶えてしまったピリオド調律や奏法なども教師から教わるというよりはレオンハルト自身が模索しなければならなかったことが想像される。
そうした研究の蓄積が今日のスタンダードな古楽奏法として広く定着していることは言うまでもない。
このセットでは彼の生涯を通じて演奏されたバッハのチェンバロ、オルガン用の作品に加えて、使用楽器については明記されていないが何種類かのヒストリカル・チェンバロを弾き分けたドイツ、イギリス、フランス及びイタリアの作曲家のアルバムを纏めて、異なったそれぞれの趣味の特徴を際立たせている。
尚後半の6枚はカンタータ、協奏曲、アンサンブル集からのセレクションで、最後の1枚ではクイケン・トリオと組んだテレマンのパリ四重奏曲6曲を収録しているが、これは過去にリリースされた3枚組のテレマン室内楽作品集の後半2枚を1枚に圧縮したものだ。
録音状態は良好で収録曲目は各ジャケット裏面でしか確認できないが、20ページほどの簡易なライナー・ノーツには2007年に行われた興味深いインタビューが掲載されている。
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