2017年12月13日

20枚に纏められたデニス・ブレインの遺産、ただし編集上の混乱も


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1997年にEMIからリリースされた13枚の『デニス・ブレインの芸術』は既に廃盤になって久しいが、今回のヴェニアス盤は前者を上回る曲目を収録して、36歳で夭折した彼の多彩なプロフィールを紹介している。

CD18のトラック15及び16はブレインのオルガン演奏だが、どちらも純粋なソロというわけではなくアーノルドの『大大序曲』は冗談音楽フェスティバル『ホフナング音楽祭』での演目としてオーケストラや掃除機に加わって、勿体ぶったパイプ・オルガンがごく僅かに登場する愉快なライヴである。

既に良く知られていたCD13の『水撒きホース協奏曲』と並んでブレインの他の演奏からは想像できない茶目っ気振りが示されている。

一方マスカーニの間奏曲はオペラのスコア通りバックにオルガンを使ったカラヤン、フィルハーモニアとの至ってシリアスなセッションだ。

ただし全収録曲がブレインの演奏ではなく、彼の父でもあり師でもあったオーブリー・ブレイン及び兄弟弟子アラン・シヴィルの演奏も数曲含まれている。

これは編集者のエラーではなく企画に則った、つまりブレインが最も影響を受けた父親と、もう一人の弟子シヴィルの演奏を比較するための収録と思われる。

確かに彼ら3人のホルニストには共通する奏法の特徴がある。

ブレインのソロ、協奏曲や彼が参加したアンサンブルを片っ端から掻き集めた編集だが、データの表記や演奏者名に若干の混乱をきたしている。

例えばCD19のブランデンブルク協奏曲第1番とCD20のモーツァルトのホルン協奏曲第3番は父オーブリーの演奏であることは間違いないだろう。

しかしこのセットも限定生産なのでデータを訂正した再販の可能性は期待できない。

他のヴェニアスのバジェット・ボックス同様ライナー・ノーツはなく、リマスタリングの表示もないが、音質は時代相応といったところでモノラル時代が全盛期だったブレインの演奏集としては多くを望めないし、これだけのレパートリーが一同に会したことは評価したい。

ブレインの奏法の特徴のひとつはヴィブラートをつけない直線的なロングトーンにある。

言ってみれば管楽器の最も基本的なテクニックが演奏にも徹底されているのだが、音程が比類ないほど正確で安定しているために、シンプルな表現の中に冒し難い品位が感じられ、また音楽が決して脆弱にならない。

更にペダルトーンから高音に至るまでの滑らかな音色と、全く難易度を感じさせない余裕からは、まさにホルンの貴公子と呼ぶに相応しい高貴さが醸し出されている。

おそらく彼以上に飾り気のない純粋無垢な音楽性でホルンを聴かせてくれる奏者は現在見出せないのではないだろうか。

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classicalmusic at 13:18コメント(0)ブレイン  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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