2017年12月16日
カール・リヒターによるバッハ宗教曲の集大成
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先ず、バッハが作曲した規模の大きい宗教曲を集大成したこの16枚と2013年にユニヴァーサル・イタリーからリリースされたバッハ宗教カンタータ集26枚で、カール・リヒターがアルヒーフ・レーベルに遺したバッハの宗教作品の殆んどが一気に揃うことになるので、入門者には最短コースのコレクションに成り得る筈だ。
勿論古い音源はどうしても新規のリマスタリングが欠かせないのでオールド・ファンにとっても再購入の時の有力な選択肢だろう。
ミュンヘン・バッハ管弦楽団は、バイエルン放送響、ミュンヘン・フィル、バイエルン国立管の団員などの精鋭から編成され、なによりも当代のバッハの使徒とでもいうべきリヒターに対する尊敬の念と忠誠心をもっていたと言われている。
リヒターは当時にあって、バッハについて深い学識ある研究者であるとともに、最高のチェンバロ奏者、オルガニストであり指揮者であった。
チェンバロ、オルガンなどの独奏の高次性も並外れており、しかもすぐれた即興性も聴衆を魅了した。
こうした実力ゆえのミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団の結成であった。
多くのバッハ作品中、その精華が本集で、厳しくも神々しいバッハ解釈である。
1969年、日本でのこのメンバーによる公演があったが、マタイもヨハネもロ短調ミサも集中的に演奏された一大ページェントだった。
この公演自体がいまだに語り草になっているが、リヒターの厳しくも神々しいバッハ解釈を日本に知らしめた衝撃は大きかった。
一致団結しストイックとしか言いようのない敬虔、厳格な音楽づくりは、その後同様な演奏を聴くことを至難としている。
その演奏の均一性、精神的な統一感はいま聴いても非常な驚きがあるだろう。
尚最後のCD11はボーナス盤としてクリスマス・オラトリオのリハーサル及び録音状況が記録されていて、22日間に及んだ録音作業の日々を追って、次第に全曲が出来上がっていく過程を追体験できる興味深いものだ。
他に全収録曲をブルーレイ・オーディオ・ディスク1枚にハイレゾリューション・コピーしたものと、更にDVD4枚が加わっていて、カール・リヒターのバッハに対する殆んど宿命的とも言える演奏活動と共に、在りし日の彼の映像を鑑賞できる、よりコンプリートなセットになっている。
カートン・ボックスは13X14X6cmの存在感のあるしっかりしたコレクション仕様の装丁で、ディスクは作品ごとに独立した白を基調にしたジャケットに収納されている。
ライナー・ノーツではカール・シューマンによるリヒターのキャリアについてのエッセイを皮切りにマタイ受難曲、ヨハネ受難曲、クリスマス・オラトリオ、マニフィカト、ロ短調ミサのそれぞれの始めのページに異なったライターの解説を付け、それに続くドイツ語及びラテン語歌詞に英語対訳が掲載されている。
またCD、DVD、ブルーレイ・オーディオ・ディスクのトラック・リストを対応させた見出しを付けた150ページのブックレットの充実ぶりは特筆される。
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