2017年12月18日

巨匠デ・サーバタの遺産、グラモフォンとデッカからのモノラル録音4枚


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この4枚に収録されたデ・サーバタの演奏は、例えばブラームスの交響曲第4番第2楽章における深みのあるリリカルなカンタービレや、ベートーヴェンの『英雄』第2楽章の壮麗なしめやかさに表れている。

彼が引退後最後に公衆の前に現れたのは1957年1月のトスカニーニの葬儀の日で、当日この葬送行進曲が彼の指揮で演奏されたが、CD4でそれに先立つ1946年の同曲を鑑賞できる。

全曲を51分かけた演奏で第2楽章の17分間は最も長いが緻密な音楽設計によって弛緩のない緊張感が貫かれている。

またシベリウスでの沈潜した神秘性と熱狂、コダーイの野太さと狂乱する民族舞踏の敏捷性にも真似のできない彼独自の哲学と手法が示されていて、ベルリン・フィルも彼らの機動力をフルに稼動させて呼応しているのが聴きどころだ。

最後の『ワルキューレの騎行』の閃光が飛び交うような鮮烈なサウンドはステレオ音源で聴くことをイメージすると、その神々しさがのっぴきならないものに思われる。

モーツァルトの『レクイエム』に関してはソリスト4人が個性的なオペラ歌手であったために、過去にはこの演奏が準イタリア・オペラのように評価されたことがあった。

しかし実際にはデ・サーバタによって良く統制され、歌手達も抑制した歌唱とアンサンブルで、確かにイタリア的なモーツァルトだが決して様式から逸脱した音楽ではない。

戦中戦後のイタリアを代表する指揮者ヴィクトル・デ・サーバタ(1892-1967)は、トスカニーニ、セラフィンに続く歴代ミラノ・スカラ座の音楽監督の一人で、戦後はマリア・カラスに代表される大歌手達と共にスカラ座黄金時代を築いた巨匠であった。

残念ながら全盛期に心臓発作で引退を余儀なくされたために遺された音源は少なく、また総てが古いモノラル音源である。

録音条件とその音質の稚拙さを受け入れるならば、彼の極めて精緻でありながら振幅の広いダイナミズムとイタリア人らしいパッショネイトな指揮による、スケールの大きな表現は時代を感じさせないだけの高い音楽性の裏付けが感じられるし、それは後輩のカンテッリやジュリーニにも一脈通じるオリジナリティーと言えるだろう。

彼のオペラ及び宗教曲での名演はなんと言ってもカラス、ディ・ステファノ、ゴッビを迎えたプッチーニの『トスカ』と、シュヴァルツコップ、ドミンゲス、ディ・ステファノ、シエピとのヴェルディのレクイエムだがEMI音源なのでここには収録されていない。

このセットで唯一の声楽曲はチェトラ音源でイタリアのオペラ歌手を起用したモーツァルトのレクイエムになり、その他はオーケストラル・ワークで占められている。

勿論当時からスカラ座の音楽監督はイタリア・オペラに精通しているだけでなく、ベートーヴェンを始めとするゲルマン系の管弦楽曲にも最大限の敬意を払って積極的にレパートリーに取り入れていたので、決して彼らにとっても稀な演目ではなかった。

ライナー・ノーツによればデ・サーバタの両親は第1次世界大戦後イタリアに編入された旧オーストリア領出身で、それは彼のレパートリーにも大きく反映され、スカラ座管弦楽団を率いたベートーヴェン交響曲全曲チクルスも行っていたようだ。

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classicalmusic at 17:20コメント(0)ベートーヴェン | ブラームス 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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