2018年01月22日

バスティアニーニ、筆舌に尽くせぬリゴレット歌唱


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1960年のセッション録音で、当時のベスト・キャストによる、かつてのリコルディ・レーベルからのリイシュー盤になる。

タイトルロールを歌うバスティアニーニはまさにヴェルディ・バリトンとして、特に中期の作品の録音で忘れがたい名唱を残しているが、とりわけ『運命の力』とこの『リゴレット』は優れた共演者に恵まれた双璧をなす彼のマスターワークだ(コッソット、ヴィンコらの脇役陣の顔ぶれにも注目)。

バスティアニーニの筆舌に尽くせぬリゴレット歌唱が味わえる大変なディスクであり、まさに圧倒的な美声と迫力で、ヴェルディ・オペラの魅力の中核を教えてくれる。

彼のリゴレットは背むしの道化という捻じ曲げられた心理や父親の娘に対する異常な警戒心などを表現する声楽的なテクニック、モノローグでの多彩な声の演技に関しては、先輩ティト・ゴッビには匹敵しないだろう。

しかし彼は持ち前の堂々たる美声に小細工を加えることなく、武骨だがスケールの大きな歌唱で性格的な役柄を率直に表現しているところに好感が持てる。

レナータ・スコットのジルダは、世間知らずの純情可憐な少女をイメージさせるが、その瑞々しさと同時に固い決意を貫く芯の強い性格を示す鮮烈な声が印象的だ。

彼女の高音は抜けるような明るさを持っていて、それをコントロールするテクニックも並外れているが、こうしたコロラトゥーラ役でも技巧に走り過ぎない、役柄としてのジルダをしっかりと踏まえている。

特にリゴレットとの二重唱など素晴らしく、何度聴き返してもその見事さに打ちのめされてしまう。

一方マントヴァ公爵を歌うアルフレード・クラウスは、奔放な漁色家だがその高貴さを常に失わないという難しい役柄を、美声によって見事に演じている。

第2幕のカヴァティーナでは超高音のd'''を聴かせているが、最盛期の歌声で、全く力みも違和感もないクリアーな発声に驚かされる。

全曲中に歌唱芸術の粋を凝らしたアリア、重唱、コーラスがきら星の如くちりばめられていて、ヴェルディ・オペラの醍醐味を堪能できる作品だが、主役3人にマッダレーナ役のフィオレンツァ・コッソットが加わる豪華メンバーで歌われる第3幕の四重唱は、このオペラのクライマックスを迎える部分だ。

文字通り黄金のカルテットが繰り広げるこのディスク、先ずは声本位でイタリア・オペラを楽しみたい筆者のような聴き手には途轍もない宝物である。

対位法によるヴェルディの4人の登場人物の心理描写、声楽的なハーモニーの絶妙さなどはさすがと思わせるが、ジャナンドレア・ガヴァッツェーニの指揮には、起承転結をわきまえたツボを外さない練達の技が感じられる。

ガヴァッツェーニの指揮にはやや平板さと荒っぽさが見えるが、オペラ指揮者の職人的感覚を不足なく備えている。

フィレンツェ5月祭管弦楽団は、イタリアの他の名門オペラ劇場のオーケストラに比較してやや劣っていることは否めないが、歌に合わせることにかけては手馴れたものだ。

録音状態は、声楽陣に関しては上々だが、オーケストラの音質は切れが悪く鮮明さに欠けている。

その意味ではむしろ1959年の『ルチア』の方が優れているようだ。

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classicalmusic at 14:04コメント(0)ヴェルディ  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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