2018年01月28日
演奏は秀逸、ただし2009年のリマスタリング盤がお薦め
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このディスクの音源は2曲のヴァイオリン協奏曲が1973年、ラプソディーの方が87年で、後者はディジタル録音で残されている。
演奏者を総てチェコ勢で固めていて、スプラフォンではこうした音源に事欠かないのは幸いだが、2009年に新規のリマスタリング盤がリリースされているので、購入されたい方には音質向上が明らかなそちらをお薦めしたい。
ヴァイオリン協奏曲第1番は同73年にヨゼフ・スークのソロ、ゲオルグ・ショルティ指揮、シカゴ交響楽団によって初演された。
この曲はヴァイオリニスト、サミュエル・ドゥシュキンからの委嘱作品で、初演が遅れた理由は楽譜の散逸とその再発見という皮肉な巡り合わせのためらしい。
基本的に無調で書かれたサウンドが鮮烈だが、リズムにはチェコの民族的なエレメントが入り込んでいる。
スークの美音と明快なテクニック、気品のある奏法が初演への意気込みと自負を感じさせる。
ヴァイオリン協奏曲第2番はミッシャ・エルマンのコミッションで初演はエルマン自身のソロ、セルゲイ・クーセヴィツキ指揮、ボストン交響楽団によって1943年に行われた。
エルマン・トーンと喩えられた美しい音色とスタイリッシュな演奏で一世を風靡したエルマンの演奏を想定して作曲されたためか、第1番よりずっとリリカルなカンタービレが支配的で、スペクタクルな音響の中にエルマンの長所を最大限活かした曲想が印象的だ。
美音家として人後に落ちないスークの艶やかで甘美な演奏も面目躍如だ。
最後のヴィオラと管弦楽のための『ラプソディー・コンチェルト』は実質上のヴィオラ協奏曲で、曲想は楽器法に則った更にリリカルな側面が強調されていて、技巧を前面に出した作品ではないが渋味のある音色が作曲家のノスタルジーを感知させる。
ヴィオラの名手でもあったスークの歌心に溢れた演奏が、この曲の持つ牧歌的な魅力を一層引き立てている。
ヴァーツラフ・ノイマン、チェコ・フィルハーモニーのサポートはこれらの作品の壮麗なオーケストレーションに彼らの機動力を充分に発揮させた鋭利な表現が秀逸だが、決して神経質にはならないところは流石だ。
特に民族的な熱狂を反映させた曲ではないが、マルティヌーが彼らの最も得意とするレパートリーのひとつであることを確信させる演奏内容になっている。
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