2018年02月04日

レオンタイン・プライス全盛期の『ポーギーとベス』抜粋ステレオ録音


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先ず幕開けのオーケストラのサウンドの鮮烈さとレオンタイン・プライスが歌う「サマータイム」のパワフルで奔放な歌唱力に圧倒される。

このディスクは当時39歳だった彼女の驚異的な美声と役者としての芸の魅力を堪能させてくれる1枚だ。

彼女がベス役を歌ったガーシュウィンのオペラ『ポーギーとベス』の全曲盤はこの録音と同じキャスティングで、幸いヨーロッパ・ツアーの時のRIAS交響楽団との1952年のベルリン・ライヴが残されているが、音質に関しては時代相応で舞台や客席からの雑音も多いのがいくらか煩わしい。

それに較べるとこちらはハイライト盤だが1963年のステレオ・セッション録音で鮮明な音質で鑑賞できるのが嬉しい。

またスキッチ・ヘンダーソンの気の利いた指揮も小気味良く、スラム街なまず横丁で展開する舞台を髣髴とさせてくれる。

プライスは常に本能的に演じているようにみせて、実際にはかなり頭脳的ストラテジーを発揮していると言うべきで、それは表現力だけでなく声の巧妙なコントロールにも感知される。

一方ポーギー役のバリトン、ウィリアム・ウォーフィールドはこの頃プライスの夫でもあり、1952年のリメイク版映画『ショーボート』の「オール・マン・リヴァー」で哀愁と諦観を表現しきって役者としての実力も披露した。

ポーギーも間違いなくはまり役で、第2幕のベスとのデュエットやベスを探しに不自由な体を押して単身ニューヨークに発つ幕切れのシーンは理屈抜きで感動的だ。

更に脇を固めているのが麻薬売人スポーティング・ライフ役のジョン・バブルスで、ヴォードヴィリアンでタップダンサーだった彼のダミ声による絶妙な性格役者の才能は、ガーシュウィン自ら選んだ初演のメンバーだったことからも証明されている。

彼らによる全曲セッション録音が存在しないのが残念でならない。

アメリカの人種隔離政策時代にはオペラ界にも徹底した人種差別があった。

メトロポリタン歌劇場に黒人歌手で初登板を果たしたのはコントラルトのマリアン・アンダーソンで1955年のことだったが、当時彼女は既に57歳で劇場との契約もたった1回の公演という屈辱的なものだった。

レオンタイン・プライスはメトと1961年に正式契約を交わした最初の黒人プリマドンナで、先輩アンダーソンの蒔いた種を見事に開花させたと言えるだろう。

ちなみにこの作品の初演メンバーによる1935年録音の抜粋盤も複数のレーベルからCD化されている。

比較的まともな音質が保たれているので鑑賞する価値は大いにある。

近年の『ポーギーとベス』は歌手達の水準は高いが妙に洗練された演奏が多く、そこでは大概物語の鮮烈さや人間的な宿命というテーマが希釈されてしまっている。

しかし正直にこのオペラを上演するならば優等生歌手は必要ないし、むしろ荒削りであってもドラマを生き生きと伝える演技力の方が問われることは言うまでもないだろう。

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classicalmusic at 18:21コメント(0)ガーシュウィン  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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