2018年02月10日
クーベリック、ウィーン・フィルとの第1回目のブラームス交響曲全集
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オーストラリア・エロクエンスからの2枚組廉価盤で、ラファエル・クーベリック指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるブラームスの交響曲全4曲を収録している。
ライナー・ノーツの録音データを見ると第1番から第3番までが1957年、第4番が1956年で、いずれもウィーンのゾフィエンザールでのステレオ・セッション録音になり、本家デッカからはCDとして初リリースのようだ。
ただし日本ではタワーレコードからヴィンテージ・コレクションでクーベリック生誕100周年記念盤として2014年に既に復刻されている。
ある程度プライス・ダウンされているところがセールス・ポイントだろうか。
早くからステレオ録音に取り組んだデッカだけあって、音質は鮮明で分離状態も良いが全体的なサウンドがややデッドで、もう少し豊かな中低音と柔らかさが欲しいところだが、これはリマスタリングの結果というより音源の持つ弱点と思われる。
クーベリックは1983年にバイエルン放送交響楽団ともブラームスの交響曲全曲を再録音しているが、先ず決定的に違うのが演奏時間で、第3番以外では第1楽章の提示部の繰り返しを省略していることもあるが、テンポの取り方もこちらの方がかなり速めになっている。
2枚のCDに収まっているのもこのためだ。
しかしクーベリック40代前半の強い推進力が感じられても、決して尖った演奏にならないのはオーケストラの奏法に負うところが大きい。
ここでは1950年代後半のウィーン・フィルのこぼれる魅惑に満ち溢れており、彼はオケの自主性を重んじた柔和な音楽作りを見せる。
この頃のウィーン・フィルはコンサート・マスターがボスコフスキー、首席奏者にはフルートのハンス・レズニチェク、オーボエのハンス・カメシュ、ホルンはフォン・フライベルクという頑固なまでにウィーン流派を受け継ぐメンバーが揃っていて、クラリネットのウラッハは少し前に引退していたが、替わって彼の高弟プリンツが首席に着いていた。
若手指揮者の言うことを聞かないことで有名なウィーン・フィルでは、クーベリックも彼らに一目を置かなければならなかっただろう。
第3番第3楽章を始めとする様々な楽器によるソロの部分での彼らの培ってきた伝統的な音色と奏法による巧みなアンサンブルを聴くことができる。
白眉は快速で駆け抜ける第4番の第1楽章で、いち早く過ぎ去ってゆく情景にウィーン・フィルの面々が歌という刻印を残してゆく様は圧巻だ。
尚第1番第2楽章のヴァイオリン・ソロはボスコフスキーと思われる。
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