2018年02月16日
グリュミオーの代表的音源を纏めたドキュメンツからの10枚
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
典雅な音色とスタイリッシュな演奏で一世を風靡したベルギーのヴァイオリニスト、アルテュール・グリュミオーはかなりの量の音源をフィリップスに遺している。
没後30周年記念として2015年にユニヴァーサル・イタリーからは彼の十八番だったモーツァルト・コンプリート・レコーディング集19枚がリリースされ、今年になってモノラル音源のみの14枚も纏められた。
曲目を見るとモーツァルト作品集とはこのセットでも2枚がだぶっているし、モノラル録音集ともハスキルと組んだベートーヴェンを始めとして7枚が同音源になる。
どちらにも組み込まれていないのが1960年から翌61年にかけて収録されたバッハの無伴奏ソナタとパルティータ全6曲、58年のベイヌム、コンセルトヘボウとのブラームス及びフリッチャイ、ケルン放送交響楽団とのストラヴィンスキーの3枚だけになる。
前述の2セットを持っている方でもバッハの無伴奏の正規盤2枚を買うよりコストパフォーマンスで優っているところがセールス・ポイントだろう。
例によってジャケットは総てボックスと同一のデザインでライナー・ノーツ等は一切省略された完全節約仕様。
ベートーヴェンのソナタ全集はハスキルの素晴らしいサポートもあって、息の合った充実した作品集に仕上がっている。
60歳を超えたハスキル晩年の録音だが、そのみずみずしさはどうだろう。
技術的にも申し分なく、各作品の様式感を深く掘り下げながら晴れ晴れとした音楽を自在に繰り出していくあたり、音楽家としてまさに円熟の極みにあったことがよくわかる。
グリュミオーにとってもかけがえのない音楽的伴侶であったろう。
2人の音楽は完璧に一体化し、全曲ともテンポ感やリズムが快い秀演となった。
後続のモーツァルトの2曲のソナタも含めて総てモノラル録音だがフィリップスの潤いのある柔らかく、しかも立体感が感じられる音質が特徴だ。
バッハの無伴奏はグリュミオー40歳を迎えた典型的な壮年期の演奏で、丁寧に引き込んでいるが覇気に満ちた強い推進力がある。
美しい音色と潤沢な音量に溺れることなく、バッハの対位法の綾を綴るテクニックは流石だ。
ドキュメンツ系の廉価盤では新規のリマスタリングは全く期待できないが、音源自体が非常に良好なステレオ録音なので音質も充分満足のいくものになっている。
それに反して最後の2枚は演奏に関しては文句はつけられないが、録音状態が時代相応以下でやや耳障りなのが惜しまれる。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。