2018年02月18日
ヴァン・オッテルローのオリジナル・レコーディング、チャレンジからの初出CD7枚
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チャレンジ・クラシックスからは2005年にもウィレム・ヴァン・オッテルローがハーグ・レジデンティ管弦楽団を指揮した13枚組が出ていたが、残念ながら既に廃盤の憂き目に遭っている。
一方こちらは2011年にリリースされた2集目のボックス・セットで、1951年から66年にかけてヨーロッパの4つのオーケストラを振った7枚分の、CDとしては初出のフィリップス音源が収録されている。
ただしこのセットには彼の演奏では白眉とされるベルリン・フィルとの1951年のベルリオーズの『幻想』に関しては、既出のためか組み込まれていない。
CD化に当たってはモノラル、ステレオ録音共にリマスタリングは良好で、鑑賞に不都合な点はない。
CD1冒頭のスメタナの『売られた花嫁』序曲での駆け抜けるような思い切ったテンポ設定に、透明感のあるハーグ・レジデンティの一糸乱れぬアンサンブルが従っているのが印象的で、彼のスコアへの精緻な読み込みを象徴している。
彼は楽団のトレーナーとしても優れた手腕を発揮して、当時のハーグをヨーロッパの並み居るメジャー・オーケストラの水準まで引き上げた。
どの作品にもそれぞれの楽器の正確な音程と良くトレーニングされた破綻のないアンサンブルが活かされているが、決して冷淡な感じはなくサン=サーンスの交響曲第3番のような大曲でも正確でありながら情熱的な演奏にしている。
ライナー・ノーツが充実していて、初出時のLPジャケットの写真が掲載され、録音時のエピソード、演奏の特徴や他のヴァージョンとの違いなどが簡潔に記されている。
オランダはオーケストラの名指揮者を絶えることなく輩出している。
その系譜はメンゲルベルクから思い出してもヴァン・ベイヌム、ヴァン・オッテルロー、ハイティンク、ブリュッヘン、ヴァン・ズヴェーデンと続いて現在に至っている。
しかしヴァン・オッテルローが他の指揮者に比較してそれほど高名でないのは、ヴァン・ベイヌムの後継者としてアムステルダム・コンセルトヘボウの首席指揮者に選出されなかったからかも知れない。
詳しい事情は分からないが、結局若かったハイティンクと後見人ヨッフムによる双頭体制が始まり、彼は円熟期の本拠地をオーストラリアに移してメルボルンとシドニーで演奏活動を行うことになる。
しかし彼の楽才やオーケストラの統率力が同時代の第一線で活躍していた他の指揮者に劣っていたわけではなく、むしろ彼のポリシーとそれを反映した比較的地味なキャリアが知名度を低くしているのが事実だろう。
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