2018年02月24日
パーヴォ・ヤルヴィ&シンシナティ交響楽団による颯爽たる名演、テラーク録音全集(16CD)
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パーヴォ・ヤルヴィは、2001年から2011年にかけてシンシナティ交響楽団首席指揮者を務め、退任後はその業績を称えられて桂冠指揮者に任ぜられるなどその関係はきわめて良好であった。
このセットは、彼らが2000年から2008年にかけてテラーク・レーベルでおこなったセッション録音を集めたもので、その全貌を独NCAが廉価BOXにまとめてライセンス発売し、得意のロマン派と近現代作品の数々を優れた音質で楽しむことができる。
この頃のヤルヴィは現在の円熟した姿とは異なり、出すCDが何れも若手指揮者らしく野心的かつ挑戦的で、驚くほど鮮烈な演奏を聴かせていた。
同じく鮮烈な演奏でも、日本ではどうしてもRCAへのベートーヴェンの交響曲録音に注目が集まりがちで、これらの米テラーク録音はその陰に隠れがちだった。
また、一部のアイテムが品切れなどの理由で現在では手に入りにくくなっていただけに、この廉価BOX化は多くの愛好家の方に喜ばれることであろう。
パーヴォ・ヤルヴィは、最も録音を活発に行っている指揮者であり、現代における最も注目すべき指揮者と言えるのではないか。
パーヴォ・ヤルヴィは、父ネーメ・ヤルヴィ譲りの非常にレパートリーの広い指揮者で、CDの多種多様ぶりには目を見張るばかりであるが、決して器用貧乏には陥らず、発売されるCDのいずれもが水準の高い名演という点も、高く評価されるべきである。
まさに飛ぶ鳥を落す勢いのパーヴォ・ヤルヴィの勢いはとどまるところを知らない。
音楽業界の世界的な不況の下で、CDの新譜が殆ど発売されない事態に陥っているが、そのような中で、気を吐いている指揮者の最右翼が、このパーヴォ・ヤルヴィということになるだろう。
しかも、どの演奏も水準の高い名演に仕上がっており、その音楽性の高さを考慮すれば、今や父ネーメ・ヤルヴィをも凌ぐ存在となったと言えるだろう。
決して粗製濫造には陥らず、多種多様な楽曲のいずれについても高水準の名演を繰り広げているというのは、類稀なる才能の証左であると言えるところであり、現代における最も注目すべき指揮者との評価もあながち言い過ぎではないと思われる。
凡演になることは殆どなく、常に一定の水準以上の演奏を行っているというのは、パーヴォ・ヤルヴィの類稀なる資質をあらわしていると言える。
パーヴォ・ヤルヴィのアプローチは、いずれの楽曲においても、曲想を精緻に、丁寧に紐解いていくというものだ。
確かに、ここには聴き手を驚かすような特別な個性があるわけではなく、奇を衒ったり恣意的な解釈など薬にしたくもないが、どこをとっても豊かな情感に満ち溢れており、常にコクのあるニュアンス豊かな音楽が流れていく。
楽曲の魅力を自然体で表現し、聴き手がゆったりとした気持ちでその魅力を味わうことができる点を高く評価したい。
このような純音楽的なアプローチによる名演を聴いていると、あらためてパーヴォ・ヤルヴィの類稀なる音楽性の豊かさとともに、前途洋々たる将来性を大いに感じるのである。
そして何よりも素晴らしいのは、パーヴォ・ヤルヴィの薫陶の下、最高のパフォーマンスを示したシンシナティ交響楽団の卓越した技量であり、管楽器も弦楽器も最高のパフォーマンスを示している。
かつては、必ずしも一流とは言えなかったシンシナティ交響楽団であるが、パーヴォ・ヤルヴィの薫陶によって、数々の素晴らしい演奏を繰り広げるようになった。
このコンビによるかなりの点数にのぼる既発売CDの演奏の水準の高さが、それを如実に物語っているが、それらが集大成された本BOXを改めて聴くと、そうした薫陶の成果が存分に発揮されているのが分かろうというものだ。
録音も、テラークならではの極上の高音質録音であり、パーヴォ・ヤルヴィの精緻な演奏を鮮明な音質で味わうことができることを大いに喜びたい。
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