2018年03月02日
20世紀の英国クラシック選集
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20世紀を代表する英国の作曲家の管弦楽及び声楽作品を12枚組にまとめたソニー・クラシカル・マスターズのリイシュー物で、バラエティーに富んだ曲種の作品集を優れた演奏で気軽に鑑賞できるセットとしてお薦めしたい。
この時代のイギリスのクラシック音楽は、明らかにヨーロッパ大陸の動向とは一線を画していて、急進的な新しい理論の実践とは異なった方向性を示した特有の楽趣を持っている。
そこには大自然やその営みの神秘性の描写を試みたもの、あるいは郷土にまつわる古謡や風物詩を扱ったもの、更には古い伝統や威厳を象徴するような音響のバロック化など、それぞれの作曲家が手法を凝らした独自の世界を展開している。
聴き手にとってそれほど難解な印象を与えないヒューマニズムに根ざした作品が多いのも事実だろう。
中でもポピュラーな曲として、例えばブリテンの『青少年のための管弦楽入門』やエルガーのマーチ集『威風堂々』、ウォルトンの『ヨハネスブルグ祝典序曲』なども含まれているので、入門者にも充分受け入れられる内容だ。
作曲家はアーネル、バーナーズ、ブリテン、エルガー、ディーリアス、マクスウェル=デイヴィス、ヴォーン=ウィリアムズ、そしてウォルトンの8人で、彼らの代表的なオーケストラル・ワーク、協奏曲、声楽曲が全曲単位でピックアップされている。
一方指揮者はビーチャム、ストコフスキー、オーマンディ、プレヴィン、バレンボイム、小澤など錚々たるメンバーが名を連ねていて、大半がロンドンのオーケストラの演奏なので彼らのお国物への強みが発揮されているのも頼もしい。
またソリストはヴァイオリンではフランチェスカッティ、スターン、ズーカーマン、チェロではヨーヨー・マが協演していて協奏曲集としても充実している。
エルガーのヴァイオリン協奏曲ではズーカーマンの溢れるような美音に託された内省的な高い音楽性が燃焼したピュアな演奏が素晴らしく、同じくエルガーのチェロ協奏曲では、この曲の演奏ではいくらか醒めた、しかし知的センスに満ちたヨーヨー・マのソロが秀逸だ。
珍しい曲目としてはブリテンの『シンフォニア・ダ・レクイエム』がプレヴィン指揮、セント・ルイス交響楽団の演奏で加わっている。
この作品は日本の皇紀2600年祝賀のために政府からブリテンに委嘱されたものだが、戦後まで日本で演奏されることはなかった。
この曲を受け取った当時の日本側の戸惑いや評価への混乱が伝わってくるような曲想が興味深い。
リマスタリングされた音質は極めて良好だが、1940年代から50年代初期の歴史的名演の数曲に関してはモノラル録音になる。
尚このシリーズにはライナー・ノーツも歌詞も付いていない。
幸いこのアマゾンのページのイメージの部分に全曲目と演奏者の内訳が写真掲載されているので参考にされたい。
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