2018年03月04日

ヘブラーの美学、モーツァルトの可憐な変奏曲集


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イングリット・ヘブラーはモーツァルトの変奏曲を連弾用のK501を含めて都合15曲、CD3枚分の音源を録音している。

このアンソロジーはこのうち比較的良く親しまれている6曲をピックアップしたタワーレコードのプレミアム・クラシックスの第1集としてリリースされたディスクになる。

モーツァルトの作品の中で、ピアノ曲の占める割合というのは大変大きく、彼自身がピアノの名手であったことを思えば当然のことであろう。

どの作品にもモーツァルト一流のシンプルな作風の中に託された至高の音楽性を垣間見せていて、彼の創作の源泉を思わせるような多彩なアイデアを盛り込んだピアノ音楽の古典的手本が示されていると言えるだろう。

これらは、一見アマチュアにも弾けるような書き方がされているが、その何でもないようなスタイルの陰に卓越した芸術性が隠されていることを忘れてはならない。

こうした小品でも個性を前面に出す演奏が多い中で、ヘブラーは天才モーツァルトに寄せる共感を可憐で詩情豊かなピアニズムで歌い上げている。

少しも気負ったところのない流麗なタッチと純粋な音色の美しさが彼女ならではの魅力を引き出している。

ひとつのテーマから溢れ出て尽きることのない流暢なヴァリエーションを飾り気なく、しかし飛びっきりエレガントに表現したのがヘブラーの演奏である。

彼女はことさらテクニックを誇示することもなく、それぞれの作品の特徴を丁寧に描きながら、モーツァルトの天衣無縫な才能を一番美しくかつ自然な形で聴かせてくれる。

決してこじんまりしたおとなしいだけの演奏ではなく、比較的規模の大きいボドロンの『私はランドール』による12の変奏変ホ長調K354での緊張感を保ちながら纏め上げる巧みさも流石だ。

特にリマスタリングの記載はないが、ヘブラーの弾く瑞々しくこぼれるようなピアノの音色を良く捉えたフィリップスの音質は極めて良好だ。

同レーベルからのモーツァルト・エディションが廃盤になってしまった現在、手軽に入手できるコレクションとしてもお薦めしたい。

ちなみに現行で入手可能な彼女のモーツァルト変奏曲集は、だぶりがあるもののこの他に2枚がデッカのロゴの日本盤で、全15曲を収めたボックス・セットがユニヴァーサル・コリアからそれぞれリリースされている。

ライナー・ノーツは見開きのみのリーフレットで簡易な曲目解説が掲載されているが、幸いアマゾンのページのイメージ欄に収録曲及び録音データが写真でアップロードされているので参照されたい。

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classicalmusic at 00:23コメント(0)モーツァルト | ヘブラー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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