2018年03月12日

リヒテルのウィーン・ライヴ1989


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リヒテル・ザ・マスター・シリーズでは最後の11巻目に当たり、2枚のCDには1989年2月20日にウィーンのヤマハ・センターで催された20世紀ピアノ音楽のコンサートからのライヴ録音が収められている。

リヒテルは早くから現代音楽の演奏に熱心なピアニストだった。

それは彼が育った時代を代表する作曲家にロシア人が多かったことにも理由があるだろう。

プロコフィエフやショスタコーヴィチとも個人的な親交があった彼は、新しく生み出された作品を作曲家自身の解釈を念頭に置きながらリアルタイムで演奏することができたという幸運にも恵まれている。

当時既に巨匠74歳の高齢ではあったが、新たな発見を求めて常に柔軟な姿勢と全力投球で音楽に取り組んだ彼の哲学がここにあるような気がする。

前半ではショスタコーヴィチの『前奏曲とフーガハ短調』が、古い教会音楽と現代音楽の止揚を試みたとも言うべき傑作で、リヒテルの澄み切った瞑想的な表現が印象的だ。

また後半のシマノフスキーの『メトープ』はギリシャ神話『オデュッセイア』からの逸話に因んだ三部作だが、リヒテルは最初の2曲のみを採り上げている。

驚くほどの高い集中力でその神秘性を極めた「セイレインの島」と艶美な「カリュプソ」が好対照を成している。

最後はヒンデミットの『組曲1922年』で、晩年のリヒテルにもこれだけのパワーが残っていたかと思わせる、迫力に満ちたヴィルトゥオジティが醍醐味だ。

収録曲目 CD1 -1.プロコフィエフ『ピアノ・ソナタ第2番ニ短調』Op.14   2.ストラヴィンスキー『ピアノ・ラグ・ミュージック』   3.ショスタコーヴィチ『前奏曲とフーガ』変ホ長調及び同ハ短調
CD2. -1.ヴェーベルン『変奏曲』Op.27   2.バルトーク『三つのブルレスク』   3.シマノフスキー『メトープ』Op.29より(1)「セイレインの島」 (2)「カリュプソ」   4.ヒンデミット『組曲1922年』 (1)「マーチ」 (2)「シミー」 (3)「夜の断片」(4)「ボストン」 (5)「ラグタイム」 

尚音源はデッカで、オフ・マイクぎみの採音はホールの残響でピアノの音質に潤いを与えているが、その反面いくらか鮮明さに欠ける嫌いがある。

また聴衆の雑音も義理堅く拾われているのが気になるが、ライヴ録音であれば目をつぶることもできるだろう。

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classicalmusic at 00:14コメント(0)リヒテル | プロコフィエフ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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