2018年03月18日

抑制された表現の美学、アバド、シカゴ響による管楽器のための協奏曲集


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シカゴ交響楽団の首席客演指揮者だった頃のクラウディオ・アバドが、当時の首席奏者達と協演したモーツァルトとハイドンの管楽器のための協奏曲を集めたもので、普段はオーケストラの一員として演奏する彼らの実力を示した1枚でもある。

首席奏者達を起用した協奏曲集はベーム、ウィーン・フィルあるいはカラヤン、ベルリン・フィルなどの先例があるように、彼らがソリストとしての高い音楽性とテクニックを備えていることの証明で、それが名門オーケストラたる所以でもあり、また誇りでもある筈だ。

録音データは明記されていないが、1985年のリリースになる。

因みにこのCDに更に他の指揮者が参加したもう1枚を加えた『ザ・シカゴ・プリンシパル』と銘打った2枚組では、よりインテグラルなメンバーの演奏集が収録されている。

収録曲目はモーツァルトのホルン協奏曲第3番変ホ長調K.447、ファゴット協奏曲変ロ長調K.191、オーボエ協奏曲ハ長調K.314及びハイドンのトランペット協奏曲変ホ長調の4曲。

ソロはそれぞれデイル・クレヴェンジャー、ウィラード・エリオット、レイ・スティルそしてアドルフ・ハーセスが受け持ち、また各曲のカデンツァも彼ら自身の創作になる。

クレヴェンジャーはこのセッションの数年後にハンガリーでローラ指揮、リスト室内管弦楽団とモーツァルトのホルン協奏曲全曲録音を行っているが、ここでのアバドのオーケストラの扱いは流石に巧く、抑制された表現の中に高尚かつデリケートな演奏スタイルを堪能させてくれる。

クレヴェンジャーもソロを突出させることなく、モーツァルトの音楽の様式美を堅持しているのはアバドの助言があってのことかも知れない。

同メンバーによる全曲録音が果たせなかったのが惜しまれる。

ハイドンではアドルフ・ハーセスのトランペットがリラックスした雰囲気の中に手馴れたテクニックを聴かせていて秀逸だが、ここでもアバドの肌理の細かいサポートがしっかりした古典派の作品としての額縁を与えている。

尚このセッションは今年2015年にドイツ・グラモフォンからリイシューされたアバドのハイドン演奏集4枚組に加えられて復活している。

ハイドンが彼の友人でトランペット奏者アントン・ヴァイディンガーのためにこの曲を書いたのは1796年とされている。

ヴァイディンガーはその頃トランペットに音孔を空けてキー操作する機能を開発中で、それまで倍音列による奏法に頼っていて転調もままならなかった楽器の限界を飛躍的に拡張することになる。

しかし初演は1800年を待たなければならなかったことを考えると、ハイドンの先見の明にも驚かされる。

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classicalmusic at 00:58コメント(0)アバド | モーツァルト 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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