2018年03月22日

アンサンブルの醍醐味、ヘブラーのモーツァルト・ピアノ四重奏曲集


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イングリット・ヘブラーは言うまでもなくモーツァルトのスペシャリストだが、ピアノのためのソロ、連弾用や管弦楽作品の他に、幸いこのピアノ四重奏曲2曲を録音している。

ヘブラーとベルリン・フィルの首席奏者たちとの共演は、これが唯一のものである。

このジャンルではモーツァルトは2曲しか作曲していないが、いずれもウィーン時代の自由闊達な作曲技法が示された音楽的な深みが感じられ、発注者であり出版元だったホフマイスターの富裕層のための易しい娯楽作品という当初の構想を遥かに超えた芸術的な高みが宝石のような輝きを放っている。

ヘブラーのきめ細かい表現はソロを弾く時と変わらないが、抑制されたピアニズムがアンサンブル・ピアニストとしても素晴らしい演奏を聴かせてくれる。

弦楽三部を受け持つベルリン・フィルの首席奏者たちも歌心とピアノとの流暢で隙のない緊密な合わせが流石に巧みだ。

弦の3人はアンサンブルのベテラン揃い、ヘブラーも重奏に慣れているとあって、演奏にはソツがない。

颯爽としていて軽過ぎず、パッショネイトでありながら情緒に流されない高度な室内楽の愉しみを満喫させてくれる演奏だ。

しかし四重奏としての完成度や練り具合は、今少しの感があり、どうも弦がヘブラーに少々遠慮気味のようだ。

出来映えとしては第1番の方が優れている。

第1番はモーツァルトにとって示唆的なト短調で書かれていて、この調の選択だけでも当時の人々の娯楽作品には成り得ない宿命を持っていたと言えるだろう。

ホフマイスターが当て込んだ印税が期待できなくなったためにモーツァルトとの間で契約破棄に至ったエピソードは象徴的だ。

彼が納得できない音楽は一音符たりとも書かなかったということの証左でもあるだろう。

一方第2番は楽器編成をそのまま採り入れているが、契約の制限から開放されて自主的に作曲したものだけに、演奏テクニックの難易度も高く、またピアノ・パートがよりヴィルトゥオーゾな華やかさを持っている。

1970年ベルリンでの録音で、音質は極めて良好。

ちなみにヘブラーが録音した他のアンサンブル用の作品にはシェリングとのモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集、ピアノと管楽器のための五重奏曲変ホ長調K452、シューベルトのピアノ五重奏曲イ長調『鱒』があり、他の奏者との協調性にも一流の腕をみせた彼女の貴重な演奏だが、入手困難になりつつあるのも事実だ。

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classicalmusic at 00:22コメント(0)モーツァルト | ヘブラー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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