2018年04月01日

至福の時、リヒテルのシューベルト


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フィリップスとデッカの音源をまとめたリヒテル・ザ・マスター・シリーズの第5巻になり、シューベルトのピアノ・ソナタ第18番ト長調『幻想』D.894、第9番ロ長調D.575及び第15番ハ長調『レリーク』D.840の3曲を2枚のCDに収めている。

リヒテルのシューベルトはピアニストと作曲家が対話を交わしているような親密な雰囲気に満ちている。

いずれもこのピアノの哲人ならではの思索的な演奏で、ゆっくりとしたテンポによって引き出されたさまざまなニュアンスが、ひとつの巨大な有機体を築きあげるさまはまさに感動的という他はない。

中でも『幻想』と『レリーク』はどちらも40分を超える大曲で、それぞれが長大な第1楽章を持っているが、リヒテルはこれらの作品への深い共感から、慈しむようなタッチで聴く人の心を完全にシューベルトの世界に引き込んでしまう。

その天上的な長さが私達には至福の時間となって持続し、通過して行く。

それはベートーヴェンを聴く時とは全く異なった静謐なひと時であり、シューベルトがベートーヴェンを神のように尊敬しながら、それとは別種の音楽を生み出していたことが興味深い。

またその魅力を直感的に悟って演奏を続けたリヒテルの才能と努力には敬服せざるを得ない。

『レリーク』は未完の作品で第3楽章とそれに続く終楽章が途中で中断されているが、リヒテルは楽譜が途切れたところでそのまま演奏を終了している。

総てがライヴから採られた良質なデジタル録音で、ライヴ特有の聴衆の雑音や拍手も入っているが煩わしくない程度のものだ。

CD裏面に1979年の録音と書かれてあるだけで録音場所等の詳細な記載が一切ない。

ライナー・ノーツは18ページで英、仏、独語によるリヒテルの簡単なキャリアとエピソードが掲載されている。

尚このセットには彼の演奏で多くの聴衆に感動を与えた第21番変ロ長調D.960が入っていないが、アルト・レーベルからリリースされている1972年にザルツブルクのアニフ城で行われたセッションが音質の良い廉価盤で手に入る。

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classicalmusic at 00:28コメント(0)シューベルト | リヒテル 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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