2018年04月09日
お国物への馴れを退けたアンチェル、チェコ・フィルの結束力
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アンチェル、チェコ・フィルのドヴォルザークにはお国物への馴れや安易さというものが皆無で、全く新しい作品に取り組むような新鮮さと厳しさが常に感じられる。
それはアンチェルの手法だったスコアへの徹底した理知的な読み込みとそれを支える強い情熱が表れたものだろう。
それだけに交響曲第6番のフレッシュで明快な解釈と遮られることのない迸るような曲想の展開が心地良いが、全く硬直することなく指揮に呼応するチェコ・フィルのしなやかさと機動力も流石だ。
第3楽章スケルツォはチェコの民族舞踏フリアントだが、アンチェルは自然発生的な熱狂からではなく、あくまでも整然とした理論の裏付けを持った、しかし迫力にも不足しない力強い曲に仕上げている。
カップリングされた2曲の序曲『オセロ』及び『我が家』ではそれぞれが文学的なアプローチによって周到に表現されていて、本物のドヴォルザークを体験できる演奏集としてお薦めしたい。
カレル・アンチェルは1948年に亡命したラファエル・クーベリックの後を継いで1950年からチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任した。
その後1968年の彼自身の亡命に至るまでにコンサートのみならず精力的な録音活動を行って、スプラフォンに膨大な音源を遺している。
幸いそれらの殆んどが良好なステレオ録音で、本家からアンチェル・ゴールド・エディションとして都合42セット計48枚のCDでリリースされた。
その中からの選曲で独自のリマスタリングでリニューアルされた日本盤の1枚がこのディスクになる。
この交響曲第6番は1960年、2曲の序曲は1963年にプラハのルドルフィヌムで収録された音源だが、半世紀も前の録音とは思えないほど音質に恵まれている。
今後はSACD或いはブルーレイ・オーディオでの再発を期待したい。
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