2018年04月13日

独創的な解釈と理想的な音質、リヒテルの『音の絵』及び『前奏曲』


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このページで紹介されているのはラフマニノフのピアノ独奏用の一連の作品集『音の絵』並びに『前奏曲』から22曲のMP3ダウンロード形式による音源だが、勿論CDとしても廉価盤で入手することが可能だ。

英オリンピアから受け継いだレジス盤の廃盤に伴い、アルト・レーベルが現在ライセンスを獲得しているリヒテルのシリーズ物の特徴は、どれも理想的な音質で彼の円熟期の師芸が堪能できることで、マイナー・レーベルながら大手メーカーからは出ていない彼の優れた演奏がCDにして11枚分揃っている。

ラフマニノフのピアノ曲を相応しく再現するのに必要なスケールの大きな発想、強靭な打鍵からデリケートな響き、重くたっぷりとした情感から傷つきやすく、秘めやかな感傷性のようなもの等々に至るまでのほとんどあらゆる要素を、リヒテルというピアニストはそなえていると言えよう。

しかも、充分すぎるほどの余裕をもっており、このディスクに聴く演奏は、その間の事情をあますところなく明らかにしていると言えよう。

ここでは、ラフマニノフの音楽が、まさに等身大と言っていいようなかたちで再現されている。

なるほど、彼の音楽はこのような息づかいをしているのかと、改めて実感させられてしまうような内容だ。

特に『音の絵』は全18曲のなかから9曲を選んだもので、1984年のデジタル録音で巨匠リヒテルの絵画的描写を超えた、研ぎ澄まされた独創的な主張が冴え渡っている。

素晴らしい技巧で、ダイナミックに弾きあげた、すこぶる堂々とした演奏である。

『前奏曲』は作品23から6曲、作品32から7曲選んで収録しているが、いずれも、リヒテルならではの強い芯をもった演奏で、そのスケールの大きな表現には圧倒されてしまう。

ラフマニノフを演奏する時のリヒテルは、豪快さ一点張りで押し通すのではなく、ある時は柔らかく、ある時は豪壮に歌いあげる。

また、現代ピアノの華麗で多彩な色どりを追求し、その効果で楽しませてもくれる。

その結果、何曲かの『前奏曲』が、相互に連なることにより大きな作品として現前する。

こうして聴くラフマニノフは実に楽しく、リヒテルの勝利の証と言えよう。

ラフマニノフのこれらの作品はピアノの音で綴った詩情溢れる小品群だが、演奏者の確たる哲学と感性とのバランスが取れていなければ名人芸を聴かせるだけの曲芸に堕してしまうし、また何かのイメージに固執して標題音楽化するのも作曲者の意図に反するだろう。

しかしリヒテルの演奏にはそうした問題を超越した世界があリ、私達を言葉では言い表せない精神的な高みに引き込んでいくようなカリスマ的なテクニックを感じざるを得ない。

こうした小品集もリヒテルは決して系統的に全曲録音した訳ではなく、彼自身が納得したものだけが選択されているに過ぎない。

おそらくコンサートのプログラムの補填として、あるいはアンコール・ピースとして用意されたものなのだろう。

レコーディングは、『音の絵』からの9曲が1984年の4月にミュンヘンにて、『前奏曲』からの13曲が1971年の9月にザルツブルクのクレスハイム城で行われている。

クレスハイムはリヒテルがしばしば指定した録音場所で、宮殿内の豊かな残響だけでなく、都会の雑踏から離れた奥ゆかしい古城は彼の霊感を高めるのに好都合だったに違いない。

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classicalmusic at 00:06コメント(0)ラフマニノフ | リヒテル 

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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