2018年04月15日
アンチェル、チェコ・フィルによるストラヴィンスキーUHQCD盤
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この音源が1962年と翌63年にプラハで収録されたことを考慮すると、当時としては技術的にも最高水準の録音だったと想像されるが、今回のUHQCD盤はその真価を明らかにしている。
先ず第一印象としては音質の透明度が向上して、よりクリアーなサウンドが得られていることで、これは2002年に本家スプラフォンからリリースされたリマスター盤の音質を上回っている。
結果的に解像度も増して広い音場の中でのオーケストラのそれぞれの楽器の定位も、また音色もより鮮やかに聴き取ることができるし、高音の抜けも良くなって以前のものより刺激的ではなくなっている。
過去の音源に新たに付加価値を付けて、より高い価格に設定する手段のひとつかも知れないが、肯定的に見るならば音質改善という、鑑賞者にとっての本来の目的は達成されていると思う。
この2曲のストラヴィンスキーを聴くと、カレル・アンチェルが20世紀の音楽の指揮者としても巨匠だったことが証明されている。
ここでのストラヴィンスキーは、素朴な雰囲気の中にも、鋭く野性的な力強さを持った、独特の味わいを持つ秀演として、高く評価されている録音だ。
自身作曲家でもあったアンチェルならではの深いスコア・リーディングが光っており、演奏効果を狙うのではなく音符1つ1つの必然性を明確に描いた演奏は限りない迫真力を持っている。
『春の祭典』冒頭のファゴットの官能的な導入が印象的で、それに続くウィンド・セクションの精彩に富んだ巧妙なアンサンブルがこの作品の原初的なパワーを遺憾なく発揮している。
また、弦楽部の不協和音に聴くことができるように野卑で野放図な音響ではなく、あくまでも音楽的な構想で造形されている。
アンチェルの解釈はモダンで冷徹な面もあるが、決して楽理一辺倒ではなく、常に生き生きとした音楽が溢れ出てくるような力強さを持っている。
1960年代前半のチェコ・フィルの渋い名人芸がアンチェルの棒で最大限に生かされた演奏で、現代曲の初演もどしどし取り上げていたこのコンビは、リズム感だけでも独自のものを感じさせる。
『ペトルーシュカ』ではオーケストラが更にカラフルになり、バレエの舞台を髣髴とさせる映像的な効果や物語性の描写も秀逸だ。
彼らの第二の黄金期と言われるだけあってチェコ・フィルのメンバー面目躍如のソロの応酬が聴きどころだ。
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