2018年04月29日
老舗の風格と愉快な遊び心、ノイマン、チェコ・フィルによるフチーク作品集
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チェコの作曲家ユリウス・フチークのマーチ、ワルツや序曲など7曲と彼の師ドヴォルザークのスラヴ狂詩曲第1番を収めたオーケストラのための小品集。
ヴァーツラフ・ノイマン指揮、チェコ・フィルハーモニーが老舗の風格と余裕を披露した第1回目の録音だ。
チェコ・フィルは当時の東側ではロシアやドイツのオーケストラに比べて遥かに柔軟なポリシーと根っからの愛国心を持っている。
丁度ウィーンの楽団がお国物を飛びっきり洒落た感覚で演奏するように、彼らはボヘミア的スラヴ魂をユーモアたっぷりに歌い上げている。
元来フチークの作品には鑑賞者に小難しい理論を振りかざしたような曲目はひとつもない。
屈託のない軍楽隊用の明るい調子のマーチや機知に富んだ短いオーケストラル・ワークは聴いて楽しいだけでなく、またバック・グラウンド・ミュージックとしてもすこぶる快活な雰囲気を作ってくれる。
『グラディエイターの入場』がサーカスの道化師の登場に使われて超有名曲になったのも、作曲家にそれだけの抜群のセンスがあったからだ。
最近のフチークの作品集ではネーメ・ヤルヴィ指揮、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団盤もリリースされていて、選曲に若干の相違があるにせよ、いずれもファースト・チョイスとしてお薦めできるアルバムになっている。
ただしこちらではリラックスした雰囲気の中にも指揮者ノイマンの祖国の作曲家に寄せる敬意と本家の自負が感じられる。
彼がオーケストラを統率するというよりはメンバーの実力を最大限尊重した解放的な演奏が聴きどころだろう。
廉価盤だが録音状態も良く、チェコ・フィル特有の瑞々しい弦楽合奏にやや渋めのウィンド、ブラス・セクションと歯切れの良いパーカッションが相俟ったサウンドも心地良い。
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