2018年05月01日

リヒテルと作曲家直伝の現代ロシア・ピアノ作品集


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リヒテルのレパートリーの中でも重要な部分を占めていたのが自国ロシアの作曲家の作品であった。

とりわけ彼と同時代の作曲家達、プロコフィエフやショスタコーヴィチとは直接交友関係にあった。

それだけにそれぞれの作品についても彼らからの直伝の解釈とリヒテル自身のアイデアが統合された、特有の深みと雄大なスケールを持っていることは否定できないだろう。

プロコフィエフのピアノ・ソナタ第6番の音源は1966年にスイスで行ったコンサートからのライヴで、そのパワフルな迫力と超絶技巧は相変わらず凄い。

尤も1960年のカーネギー・ホール・リサイタルの覇気に満ちたライヴに較べると戦闘的な刺々しさはやや後退している。

尚後者の方はRCAから質の良い録音でリリースされている。

ちなみに第6番と並んで戦争ソナタと呼ばれる彼が初演した第7番は、その後頻繁に弾かなかったためか残されているマスター自体が少なく、このセットにも入っていない。

またショスタコーヴィチの『24の前奏曲とフーガ』は1952年にタチアナ・ニコラーエワによって初演されて以来、ロシアの多くのピアニストによって採り上げられた作品集だ。

しかしリヒテルが生涯に全曲演奏した記録はなく、彼の流儀によってパリのコンサートでは6曲のみを抜粋している。

1曲1曲に全く異なった個性を与えた華麗かつ豪快なピアニズムが秀逸だ。

一方スクリャービンの色彩豊かな小品では、彼の創造した神秘和音が続出する最後期の作品『焔に向かって』と、まだ後期ロマン派の名残を残している『ファンタジー』が、リヒテルの磨きぬかれた感性が光るパフォーマンスだ。

11セット22枚のCDで組まれているRICHTER THE MASTERシリーズは、巨匠がデッカとフィリップスに遺した良質なライヴ録音の蒐集で、リヒテル・ファンには欠かすことのできないコレクションになっているが、録音データの表記の曖昧さには辟易する。

このセットのライナー・ノーツには単に1993年と1963年のレコーディングと記載されている。

しかしよく調べてみるとスクリャービンは1992年10月28日のオランダ・ナイメヘンでのコンサート、プロコフィエフのソナタ第6番は1966年9月8日スイス・ロカルノ、第4番は1989年3月20日のロンドン、その他は1979年11月27日ザルツブルクのそれぞれライヴ録音で、ショスタコーヴィチは1963年6月及び7月にパリで催されたリサイタルから採った音源のようだ。

リヒテルの貴重な演奏の集大成というだけでなくリミテッド・エディションなのでデータの正確さの面でも、もう少し拘っても良かったのではないだろうか。

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classicalmusic at 00:19コメント(0)リヒテル | プロコフィエフ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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