2018年05月19日
コーガンの現代ロシア・ヴァイオリン作品集、プラガ・ディジタルスからの2枚
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旧ソヴィエトを代表するヴァイオリニスト、レオニード・コーガン(1924-1982)の現代ロシア作品集2枚組で、チェコ・プラガ製作によるレギュラー・フォーマット盤のシリーズであることを確認されたい。
ただし保存状態の良いセッション及びライヴ音源が使われていて、新規リマスタリングによって音質はかなり向上しているので鑑賞に全く不都合はない。
ちなみに2曲目のハチャトゥリアンの協奏狂詩曲のみがモノラル録音だが、他の収録曲に遜色のない、ソロを克明に捉えた芯のあるしっかりした音響が再現されている。
これまでにリリースされたコーガンのボックス・セットでは聴くことができない貴重な選曲が特徴で、これらの6曲でコーガンは新時代のロシアのヴァイオリン音楽を告げる先鋭的な意気込みを伝えている。
中でもケレンニコフとヴァイセンベルクの協奏曲はそれぞれがコーガンに献呈され彼自身が初演を飾った作品で、その真似のできないオリジナリティーと彼特有の近寄りがたいような鮮烈な演奏が繰り広げられている。
彼は前者では勇猛果敢な作風をスヴェトラーノフの豪快なサポートで鬼神のように具現し、一方後者ではコンドラシンとのコラボでより精緻で頭脳的な形式感を感知させている。
ハチャトゥリアンの協奏曲はオイストラフに献呈されたものだが、ここではピエール・モントゥー指揮、ボストン交響楽団による1958年の歴史的録音が収録されていて、こちらも彼がエスニカルな熱狂を示した名演のひとつだろう。
最後のデニソフの『パルティータ』はバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番からソロ・ヴァイオリンと室内管弦楽用にシュールレアリズム的なオーケストレーションでアレンジした、ストコフスキーの現代版といったところだ。
しかし、彼の超ポリフォニー手法が幾らか裏目に出て、時折ソロを邪魔してしまうのがやや煩わしい。
また通奏低音にチェンバロも加えて故意にバロック的音響を残しているが、全体的に音楽が中途半端に新しいという印象を与えている。
コーガンが亡くなる前年のライヴで、その気迫のこもった情熱的な演奏からは彼の早世が惜しまれる。
尚この作品の指揮はコーガンの息子であり、ヴァイオリニスト、指揮者のパヴェル・コーガン。
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