2018年05月25日
4年ぶりのリイシュー盤、良好なラジオ放送用ステレオ音源
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ヤーノシュ・シュタルケルが1970年代に南西ドイツ放送局のために録音した音源で、このディスクにはヒンデミット、プロコフィエフ、ラウタヴァーラの3曲のチェロ協奏曲が収録されている。
少なくとも私の知る限りでは、ヒンデミットを除いた2曲はシュタルケルのレパートリーとしても唯一の音源だ。
プロコフィエフに関しては1956年のワルター・ジュスキント、フィルハーモニア管弦楽団とのセッション録音がワーナーからイコン・シリーズで復活している。
ここに収められているのは同曲からの改作Op.125の方で、交響的協奏曲と改題され、音楽もより充実した内容に仕上がっている。
演奏はヒンデミットがフォン・ルカーチ指揮、SWRシュトゥットガルト放送交響楽団で1971年、プロコフィエフはエルネスト・ブール指揮、ラウタヴァーラがブロムシュテット指揮になり、この2曲はバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団で、どちらも1975年の協演になる。
音楽的な質の高さは言うまでもないが、当時としては音質的にも極めて良好なステレオ音源で保存状態も完璧だ。
3曲ともシュタルケルが得意とした20世紀の作品で、今もって彼の演奏がその解釈の面でも、またテクニックにおいても最高峰にあると思える。
というのも近年こうした新しい時代の作品を一流どころのチェリストがあまり積極的に採り上げないからかもしれない。
ヒンデミットの色彩的でスペクタクルな堂々たるオーケストレーションに支えられたソロ・パートを一瞬の隙をも見せない緊張感に貫かれた奏法で弾き切る彼の美学が面目躍如たるセッションだ。
またフィンランドの現役の作曲家、エイノユハニ・ラウタヴァーラのチェロ協奏曲は規模は小さいがチェロの音響的可能性を追究している点で注目される。
神秘的なフラジオレットによるアルペッジョがソロの重要なモティーフになっていて、重音奏法とフラジオレットを駆使したパッセージがシュタルケルの精緻な技巧によって超然と響いてくるのに唖然とさせられるが、ブロムシュテットのサポートも絶賛したい。
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