2018年06月04日
これまでのバジェット・ボックスを補うベーム・グレイト・レコーディング集17枚、日本語訳エッセイ付
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これまでにユニヴァーサルからリリースされたベームのバジェット・ボックスは3組あり、ユニヴァーサル・イタリーのベートーヴェン、ブラームス、モーツァルト、シューベルトの交響曲全集22枚と、ドイツ・グラモフォンからの後期録音集23枚及び『カール・ベーム・ア・ライフ・イン・ミュージック』の29枚だが、更に今回グレイト・レコーディング集17枚が加わった。
収録曲目がだぶらないように効率良くコレクションするには、これら4セットのうちだぶリの多い『ア・ライフ・イン・ミュージック』を除いた3セットの購入が理想的で、協奏曲やオペラは別として入手困難なディスクを含むオーケストラル・ワークが正規グラモフォン音源で一挙に揃うことになる。
この17枚にはベートーヴェンの『ミサ・ソレムニス』、ハイドンのオラトリオ『四季』などの声楽曲も含まれている。
それらはモーツァルトの『レクイエム』と並ぶベームの宗教曲に対する造詣の深さと真摯かつ情熱的な解釈を示した貴重なサンプルでもあり、ひとつの模範的な演奏である筈だ。
リヒャルト・シュトラウスの『アルプス交響曲』を始めとする数曲のモノラル録音もあるが、いずれも本家の音源だけに音質自体は高度な鑑賞にも充分堪え得る破綻のない良好な状態に保たれている。
尚最後の2枚はボーナスCDになり、ベーム自信の語る音楽観とキャリアの回想及びシューベルトの交響曲『グレイト』の計40分以上に及ぶリハーサル風景とその後の全曲通しのセッションが収録されている。
ベームは筆者にとってドイツ・オーストリア音楽のスタンダードであり続けているが、同時代に活躍したカラヤンがベルリン・フィルの芸術監督であったこともあり、ベームと言えばウィーン・フィルの指揮者というイメージが強かった。
しかし、実際にはベームは1950年代から60年代にかけて、ベルリン・フィルやシュターツカペレ・ドレスデンとも多くの録音を残しており、それらをこのボックスでまとめて聴けることはありがたい。
その中には、かつてLPで所有していたベートーヴェン『エロイカ』やブラームス交響曲第1番の懐かしい名演だけでなく、その存在は知っていても耳にする機会がなかった一連のモノラル録音も含まれている。
ベームの音楽に対する姿勢や曲の基本的な解釈は当時から一貫しているが、その演奏全体から筆者が受けた印象は後年のウィーン・フィルの演奏とは大きく異なった。
このボックスに収められた一連の録音は、ベームという指揮者を改めて再発見させてくれるのではないだろうか。
75ページほどのライナー・ノーツには収録曲目と録音データの他にヘルゲ・グリューネヴァルトのエッセイが珍しく日本語訳で掲載されているのは親切な配慮だ。
また声楽曲に関しては全曲英語対訳歌詞付。
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