2018年06月12日

恐るべきヴィルトゥオジティ、ビルスマの協奏曲集


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アンナー・ビルスマには古楽のパイオニア、ヨーロッパ古楽界の重鎮というイメージが定着しているが、一方でこの6枚組の協奏曲集及びデュエット集に聴かれるように、チェロの恐るべきヴィルトゥオーゾだったことを思い知らされる。

このセットではアンサンブルを支えた通奏低音奏者の姿からは想像できない別人のチェリストが現れて、そのディアボリックな超絶技巧を楽しんでいる意外性に驚かされる。

CD1−3ではヴィヴァルディ、ボッケリーニ、ハイドン、クラフトのチェロ協奏曲集で、ヴェネツィアの名匠マッテーオ・ゴフリラーによる名器の音色と機能をフルに活かした鮮やかな弓さばきを堪能させてくれる。

ボッケリーニやクラフトはそれぞれが高名なチェリストだったこともあって、その作品は名人芸が随所に使われている難曲揃いだが、ビルスマの向かうところ敵無しの颯爽とした弾きぶりがこれらの曲の美学を究極的に引き出している。

尚CD1の最後に収められた『協奏曲ニ短調』はバッハの『フルート・ソナタロ短調』からフランス・ブリュッヘンによって復元された作品で、ごく部分的な試みだがクイケン兄弟やグスタフ・レオンハルトを配した豪華メンバーで試奏されている。

CD4でのベートーヴェンの『トリプル・コンチェルトハ長調』は、この作品をピリオド楽器で演奏した数少ないサンプルのひとつで、1974年の録音なのでおそらくこの演奏形態での最も古いセッションと思われる。

ソリストはビルスマの他に指揮とヴァイオリンを兼ねるフランツヨーゼフ・マイヤー、フォルテピアノにはバドゥラ=スコダを迎え、コレギウム・アウレウムがサポートしている。

博物館から引っ張り出してきたようなフォルテピアノの古色蒼然とした音色は、現代ピアノに慣れた耳にはいくらか違和感が残るが、彼らのこうした実践的な試行錯誤が今日のピリオド楽器の専門的な修復やその奏法の確立を促した重要な活動だったのではないだろうか。

それに続く『クロイツェル・ソナタ』からの弦楽五重奏版へのアレンジ物は彼らの柔軟なファンタジーをみせた好例だ。

CD5はビルスマが愛用しているストラディヴァリウス「セルヴェ」の所有者だったチェリスト、フランソワ・セルヴェへのオマージュで、実際にこの楽器の持つ特性を披露する技巧的なチェロとオーケストラの作品2曲とデュエット4曲を収録している。

最後の1枚もやはり19世紀のフランスの名手オーギュスト・フランショームの作品集で、音楽的にはそれほど深刻なものではないが、中でもショパンとの合作になるマイヤベーヤのオペラ『悪魔ロベール』のテーマによる『グラン・デュオ・コンセルタン』は華やかに彩られた典型的なサロン風の小品だ。

ライナー・ノーツは英語のみの22ページで音質は極めて良好。

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classicalmusic at 00:04コメント(0)ビルスマ  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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