2018年06月22日

魅力満載のイベール作品集


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この2枚のCDに収められた11曲の録音年代は、デニス・ブレインが加わった1957年のアンサンブル『3つの小品』から、マニュエル・パユのフルート、デイヴィッド・ジンマン指揮、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団による2002年の『フルート協奏曲』までほぼ半世紀に亘っている。

幸い古いものについてはデジタル・リマスタリング処理がされていて意外なほど音質が良く、イベールのオーケストラル・ワーク、協奏曲、更にアンサンブルから歌曲に至るまで広いジャンルの作品の魅力を俯瞰できるのが特徴だ。

廉価盤としては理想的なカップリングと言うべきだろう。

先ず『フルート協奏曲』におけるパユは、本当に明瞭な音で、アーティキュレーションに曖昧さもなく、速いテンポの中でも余裕がある。

そこが、他のフルーティストと最も違う所で、学習者にも最高のお手本になっている。
 
ただ、この楽器の限界まで低音などでフォルティッシモで鳴らしている所の音響、楽器の共鳴、うなりについては、ホールの後ろの席で聴けば美しい音なのであろうが、この優秀録音での近接音は、好悪を分けそうだ。

この海外盤では、国内盤に比べそれが少し隠されて、僅かだが距離感のある音になっているのは救われる。
 
結局、オーケストラの優秀さ、録音の良さもあり、この協奏曲のベスト争いにパユ盤も加わることになった。

音楽の遊園地的な管弦楽曲『ディヴェルティスマン』はルイ・フレモー指揮、バーミンガム市響の演奏で1973年の録音だが、筆者の持っているマルティノン、パリ音楽院の羽目を外した楽しさに比べると、スマートだがいくらかまとまり過ぎている気がしないでもない。

『3つの小品』での聴き所は、ブレインが縁の下の力持ちに徹するアンサンブルの面白みと、彼としては貴重なステレオ録音であることだ。

また1958年のストコフスキー指揮、フランス国立放送管弦楽団による『寄港地』は、イベール自身が第1次世界大戦中に実際に立ち寄った港町の情景を音楽で綴ったイメージ集で、現代風に言うならさしずめ地中海クルーズ紀行といったところだが、ストコフスキーの情景描写は素晴らしく、音楽の持つ特徴を鮮烈に描き出している。

「テュニス」での名高いオーボエ・ソロを持続した緊張感の中に浮かび上がらせる棒さばきも鮮やかだ。

ジャン・マルティノン指揮、フランス国立放送管弦楽団による2曲『祝典序曲』及び『架空の愛へのトロピズム』はどちらも1974年の録音で、ここでは流石にマルティノンの晴れやかで、特に後者では美しい抒情性と対照的なジャズ・バンド顔負けのラテン的な明るさが特筆される。

最後にジョゼ・ヴァン・ダムのバリトン・ソロ、ケント・ナガノ指揮、リヨン・オペラ・アンサンブルによる『ドン・キホーテの4つのシャンソン』だが、筆者はこの映画を持っていて、シャリアピンの途方もなく型破りでスケールの大きい歌と演技に魅了された者にとっては、酷な言い方かも知れないが、ヴァン・ダムの歌唱は修道僧の真面目くさった説教のように聴こえてくる。

しかしケント・ナガノが繊細で味のある伴奏を付けているのは評価できる。

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classicalmusic at 00:39コメント(0)ジンマン | マルティノン 

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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