2018年06月24日
声の饗宴、1950年代のグレート・ヴォイス
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このCDは7曲が1957年のシカゴ・リリック・オペラのガラ・コンサートからのライヴで、この時代のオペラ・スター歌手4人による声の饗宴を堪能することができる1枚だ。
ライヴはモノラル録音だが、音質はまずまずで全盛期のテバルディ、シミオナート、バスティアニーニの美声と、一にも二にも声の響きで表現するイタリア式のスタイリッシュなベル・カント唱法がいやがうえにも聴き手を引き込むアルバムだ。
尚第1曲目に置かれたヴェルディの『運命の力』序曲は初CD化のようだ。
このガラ・コンサートはゲオルグ・ショルティ指揮、シカゴ・リリック・オペラ管弦楽団の伴奏になる。
2曲目サン=サーンスの『サムソンとダリラ』からシミオナートが歌う「君の声に私の心は開く」と3曲目のチャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』からテバルディが歌う「タティアーナの手紙のシーン」は共にイタリア語訳の歌詞が使われているのが興味深い。
ごく特殊な言語を除いて国際公演では原語上演が常識になっている現在では珍しいことだ。
それを許しているショルティにも、また当時のイタリア人歌手達のアメリカでの絶大な人気からも、まだ歌手優先だった時代の慣例を窺わせるものがある。
ちなみにシミオナートはフェルディナンド・プレヴィターリと録音した別のアリア集で、同オペラのもうひとつのアリア「春は目覚めて」を原語のフランス語で披露している。
後半最大の聴きどころは8曲目、ポンキェッリの『ラ・ジョコンダ』から終幕のシーンでジョコンダとラウラのそれぞれに扮するテバルディとシミオナートがこれぞイタリア・オペラの醍醐味と言えるような、火花を散らす激しいデュエットを聴かせるトラックだ。
この2人は同オペラの全曲盤のセッション録音では協演する機会をもたなかったので貴重なライヴだ。
一方バスティアニーニが歌う十八番の『アンドレア・シェニエ』から「祖国の敵」が貫禄充分だ。
またトスカニーニに天使の歌声と讃えられたテバルディの何処までも澄み切った、それでいてドラマティックな表現による『メフィストーフェレ』はオペラの黄金時代を飾った模範的な歌唱芸術として聴き継がれるだろう。
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