2018年07月10日

奇才デュカスの遺産


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ポール・デュカスは、遺された作品がごく少ないので音楽史の上でも同時代の他の作曲家の中に埋没しがちで、際物扱いされることが多いが、彼の曲を注意深く聴いていくと独自の音楽語法を持っていたことが理解できる。

その代表作が交響詩『魔法使いの弟子』だ。

この曲はゲーテの詩にインスピレーションを受けて音楽化された作品で、ウォルト・ディズニーが1940年に制作した、クラシック音楽をベースにした一連のアニメーション映画『ファンタジア』の中に組み込まれた。

実際にはストコフスキーによる編曲版を使っていて、動画ではミッキー・マウスが魔法使いの弟子を演じているために、それ以来この曲は一挙に大衆化したが、デュカスの原曲も現在に至るまで根強い人気がある。

オーケストレーションが精緻で、幻想的で巧みな情景描写だけでなく、登場人物の心理描写も見事で、こうした彼の手法は同時代のリヒャルト・シュトラウスにも通じるものがあるし、ラヴェルにも影響を与えたことは確実だ。

演奏はミシェル・プラッソン指揮、トゥールーズ・カピトル管弦楽団で、1995年の録音で演奏内容、音質ともに高水準でお勧めできる。

デュカスがこの種の作品を多く残さなかったのは残念だが、このセットでは30代の大作、交響曲ハ長調をジャン・マルティノン指揮、フランス国立放送管弦楽団の演奏で聴くことができる。

1972年のセッションで、マルティノンは当時ドビュッシー、ラヴェル、オネゲル、イベールなどの自国の作曲家の作品に精力的に取り組んでいた時期でもあり、その情熱がこのセッションにも感じられるし、オーケストラもよく統率され、彼らのフランスものに対する強みを充分に発揮している。

急、緩、急の三楽章構成はセザール・フランクの交響曲から着想を得たと言われているが、オーケストレーションの色彩感や軽快で屈託の無い曲想はサン・サーンスからの影響だろう。

哲学的な深みはないが、疾走するような爽快感に魅力がある。

このディスクには同じメンバーでオペラ『アリアーヌと青髭』から第三幕への序奏も加わっている。

その他の曲としてはピアノ・ソナタ変ホ短調をジョン・オグドンのピアノで、また詩人ピエル・ド・ロンサールの生誕400年を機会に作曲された、彼のソネットに基づく短い歌曲『アムール』はカウンター・テナー、フィリップ・ジャルスキ、ジェローム・デュクロの演奏で、またホルンとピアノのための『ヴィラネル』はデニス・ブレイン、ジェラルド・ムーアの名演を入れて欲しかったが、ここではマイケル・トンプソン、フィリップ・フォークのものが収録されている。

尚廉価盤の宿命でライナー・ノーツは最小限の解説に止めてあって充分とは言えない。

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classicalmusic at 00:14コメント(0)マルティノン  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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