2018年07月26日

巨匠リヒテルとボロディン四重奏団によるアンサンブルの矜持


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このライヴ自体既に評価の高かったものだが、今回UHQCD化によって音質がグレードアップされた。

従来盤より透明度が増して全体的に音色の輝かしさが出て磨きのかかったような印象がある。

シューベルトのピアノ五重奏曲『ます』にリヒテルのような巨匠が加わることは稀だが、若い頃からアンサンブルに積極的に参加していた彼だけに、ここでも超一級の協調性をみせた力強く隙のない合奏が特徴だ。

ライヴならではの緊迫感がすこぶる快く、聴き手の関心の中心になるのはもちろんリヒテルの演奏で、彼が弾き出す美音は心に深くしみいってくる。

また流石にヴィルトゥオーゾで一世を風靡したリヒテルらしく、急速楽章ではテンポを更に速めに設定してピアノ・パートの名技主義を前面に出した鮮やかなピアニズムも健在だ。

聴衆を前にしたリヒテルが、気持ちを静かに燃やしているのが感じとれる演奏と言ったらよいだろうか。

しかし一方でボロディン四重奏団の3人とヘルトナーゲルの誠実かつ真摯な演奏ぶりが楽趣を高めているのも忘れてはならない。

特に第2楽章ではボロディン四重奏団の持ち前の抒情性と相俟ってひときわ美しい情景を描き出している。

元来ボロディンはロマンティックな演奏を得意としているが、この作品でも彼らの長所とリヒテルによって引き締められた緊張感が心地良い。

最近聴き比べたグリュミオーとヘブラーが協演した同曲の演奏では、どちらかと言えばグリュミオーのヴァイオリンの美しさをヘブラーと弦楽部が支えているように感じられるが、ここではリヒテルが圧倒的な存在感を示している。

勿論ピアノ五重奏としてのバランスは堅持されているにしても、特に第4楽章の第3変奏でリヒテルの弾くピアノ・パートのユニゾンの華麗なテクニックはこのヴァリエーションに鮮やかな花を添えている。

1980年6月18日にオーストリア、ホーエネムス城で収録されたライヴ音源だが音質は極めて良好で、客席からの雑音もなく彼の瑞々しい音色を捉えている。

リヒテルは後年ヨーロッパの古城や宮殿を積極的に使ってライヴやセッション録音を果たしている。

それは現代のコンサート・ホールよりもかつてこうした作品が実際に演奏された空間の自然な残響を好んだだけでなく、都心を離れた閑静な環境で芸術的インスピレーションを高めるためだったと考えられる。

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classicalmusic at 21:06コメント(0)シューベルト | リヒテル 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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