2018年08月01日
スペインの熱狂、デ・ブルゴス、パリ音楽院が小品で聴かせる絶妙なサウンド
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ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(1933-2014)は録音活動ではそれほど恵まれなかったが、ブラームスを始めとするゲルマン系作曲家の作品を得意としていた。
その一方で母国スペインやフランスに代表される全く異なったラテン系の音楽もこよなく愛し、ここでも迸るように情熱的で歌心溢れるお国物への絶妙な巧さを披露している。
彼の名声は皮肉にもむしろ後者の理由で、レコーディングも晩年のデンマーク国立交響楽団とのベートーヴェンの交響曲全集その他を纏めたデンマーク・ダカーポからのブルーレイ・オーディオ3枚組以外は、デッカにトゥリーナ、アルベニス作品集、EMIにはこのディスクの他に往年の名ソプラノ、ヴィクトリア・デ・ロス・アンへレスとのファリャの歌劇『儚い人生』やバレエ音楽『三角帽子』、室内オーケストラで伴奏した歌曲集などが名盤として知られたところだ。
その中でも言ってみればデ・ブルゴスのデビュー録音がこの『ミュージック・オヴ・スペイン』になり、彼が1963年にパリ音楽院管弦楽団に客演した時の音源で、解散前のパリ音楽院の一癖も二癖もある教授達を見事に統率して光彩に溢れ、また時には深い陰翳を映し出したリズミカルで滾るような熱いスペイン情緒を満喫できる貴重な1枚だ。
彼とパリ音楽院との音源は他にもある筈で、収録時間から言ってもカップリングにもう一工夫が欲しかった。
第1曲目の『火祭りの踊り』はエルネスト・アンセルメ、スイス・ロマンドの名演が遺されているが、デ・ブルゴスのそれは彼らの演奏を刷新するほどファンタジーに溢れ、しかもアンセルメにも負けない覇気でパリ音楽院の色彩豊かな音色を縦横に引き出している。
同じくファリャのスペイン舞曲は歌劇『儚い人生』第2幕祝宴で演奏され、舞台上では実際に舞踏が披露される部分で、このオペラがピークを迎える華やかさとその後に訪れる悲劇とのコントラストを予感させるデ・ブルゴスの表現が素晴らしい。
アルベニスとその後輩トゥリーナの作品もスペイン情緒をオーケストレーションによって描いた一種の音画であり、目の前にエキゾチックな情景を浮かび上がらせるような手法は流石だ。
このアルバムはデ・ブルゴスがデッカにニュー・フィルハーモニア及びロンドン・フィルと入れたトゥリーナ、アルベニス作品集と共に聴き逃せないディスクだろう。
古い音源で僅かにヒス・ノイズが聞こえるが、UHQCD化された音質は鮮明で高度な鑑賞にも充分に堪え得る。
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