2022年04月01日
『ブラジル風バッハ』だけではないヴィラ=ロボスの多彩な世界
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ヴィラ=ロボスの多岐に亘る作品を協奏曲、室内楽、管弦楽のそれぞれのジャンルから集めて2枚のCDにカップリングした20世紀クラシックス・シリーズのセット。
第1曲目のソプラノ・サクソフォンと室内オーケストラのための『ファンタジア』は実質的な協奏曲で、この楽器の特性を活かした華やかで色彩感に溢れる、サクソフォンのための数少ない協奏曲のひとつだ。
ジョン・ハールの鮮やかなソロ、ネヴィル・マリナー指揮、アカデミー室内による1990年のセッション。
この曲は作曲者が1920年にパリで出会ったサクソフォニストのマルセル・ミュルのために書いたが、ミュルの関心を惹くことはなく、彼に送られた楽譜も紛失してしまったといういわくつきの曲だ。
一方ギター協奏曲はアンドレアス・セゴビアの初演で、1951年に作曲されているので、ロドリーゴやカステル=ヌオーヴォの同協奏曲より後の作品になる。
彼自身ギタリストでもあり、ソロ・パートの手馴れた名人芸や洗練されたオーケストレーションの書法が魅力だが、新境地に踏み込むような斬新さと音響の鮮烈さではロドリーゴが優っているように思う。
演奏はロメロ・ファミリーの末っ子で、情熱的なテクニシャンのアンヘル・ロメロのソロ、へスス・ロペス=コボス指揮、ロンドン・フィルによる1984年のセッション。
その他興味深い曲として、当初ピアノ用に作曲された『ブラジルの子供のためのカーニバル』に堂々たるオーケストレーションを施して協奏曲風に仕上げたファンタジー『モモプレコチェ』がクリスティーナ・オルティスのピアノ、アシュケナージ指揮、ニュー・フィルハーモニアで聴ける。
そしてやはり民族的な印象が強い弦楽四重奏曲第6番ホ短調がハンガリアン・カルテットの演奏になる。
2枚目は彼のオーケストラル・ワークの代表作『ブラジル風バッハ』からの4曲になる。
中でも白眉はヴィラ=ロボス自身の指揮とヴィクトリア・デ・ロス・アンへレスのソプラノに8台のチェロが加わる第5番が、エキゾチックな雰囲気を満喫できるだけでなく、音楽的にも高い水準で必聴の名演。
オーケストラはフランス国立放送管弦楽団で1956年の古いセッションだが、デジタル・リマスタリングの効果もあって音質は良好。
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