2018年08月17日

新時代のギター音楽の旗手、イエペスのギター協奏曲集


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ナルシソ・イエペス(1927-97)がドイツ・グラモフォンに録音した総てのギター協奏曲及びギター・ソロとオーケストラのための作品を5枚のCDに収録したセットで、ライナー・ノーツの後半に初出時のオリジナル・ジャケット写真付の録音データが掲載されているが、当時のLP盤7枚分ほどになる。

イエペスはリュート奏法もマスターしていたようだが、ヴィヴァルディのリュートが加わる協奏曲2曲についてはギター編曲版を演奏している。

尚ロドリーゴの『アランフエス協奏曲』及び『ある貴紳のための幻想曲』の2曲は1969年と77−79年の指揮者、オーケストラの異なる2種類の音源が収められている。

ディスクによってやや録音技術的なレベルが違うが音質は良好。

イエペスは結果的にか、あるいは意図的だったかはいざ知らずアンドレアス・セゴビアのアンチテーゼのように位置付けられている。

ギターを芸術的表現が充分に可能な楽器として、独自の奏法を確立していわゆるクラシック・ギターの演奏水準を飛躍的に高めて世に知らしめたのは確かにセゴビアの功績に違いない。

しかし彼はさまざまな意味において殆んど全ヨーロッパ・ギター界を牛耳るほどの頑固な独裁者的な存在になったことから、後年毀誉褒貶相半ばする大家だった。

セゴビアより30歳以上年下のイエペスが、彼とは全く異なったコンセプトを持って登場することによって、1960年代はギター界にも新風が吹き込まれた時代だった。

つまり感情移入に頼りがちな奏法を抑えて楽器の機能を最大限引き出しながら、作品を一度突き放した形で徹底した客観的な解釈を堅持して、洗練されたテクニックで作品自体に語らせるアプローチは、当時のクラシック楽壇に台頭した共通の傾向だったと思う。

また彼は同時代の作曲家の作品も価値が高いと判断したものは躊躇なく取り上げた。

このセットの後半3枚はロドリーゴを始めとする20世紀の作曲家の作品集になる。

中でもオアーナ及びルイス=ピポの作品は無調で、高度なオーケストレーションに支えられたギターの可能性にイエペスは惜しみない理解と協力を示している。

デ・ブルゴス、ロンドン交響楽団のサポートも白眉だが、イエペスが新時代のギター音楽の旗手としての役割にも果敢に取り組んでいたことの証左でもある。

彼は楽器の改造にも積極的に関わった。

ここで使用されているのは彼自身がスペインのギター製作者ホセ・ラミレスと共同開発した10弦のギターで、倍音を平均化して音量のばらつきの解決を試みたものだが、奏法が複雑化するためか一部の演奏家には支持されているものの皮肉にもギターのスタンダードとしては普及していないのが現状だ。

ただしイエペス本人は流石に開発者だけあって、この楽器をフルに使いこなして明確で豊かな音量を響かせている。

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classicalmusic at 20:23コメント(0)ヴィヴァルディ  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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