2018年09月04日

燃焼度の高いライヴ、アンチェル、コンセルトヘボウのステレオ音源(2)


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このセットはアルトゥス・レーベルから同時にリリースされたカレル・アンチェルのコンセルトヘボウ管弦楽団への一連の客演シリーズの第2集で、以前のターラ音源をリマスタリングした都合3枚のCDの完結編だが、最後のハイドンの交響曲第104番のみはオランダ放送フィルハーモニーとの共演になる。

彼はチェコ・フィルハーモニー首席指揮者時代にオーケストラの黄金時代を築いてヨーロッパの名門に復活させただけでなく、幸い膨大な演奏集をスプラフォンに遺した。

一方今回のディスクはアンチェルが当時の西側のオーケストラと行った彼のレパートリーとしてはレアで貴重なライヴ音源で、アンチェル亡命後の精力的な演奏活動を証明するサンプルでもあるだろう。

本来であればトロント交響楽団とのセッションやライヴがもっと遺されていてもいい筈だが、残念ながら彼の晩年は録音に関してはチャンスに恵まれなかったようだ。

オン・マイクで収録されているが、ホールの潤沢な残響も含んだ録音は当時のライヴとしてはマスター・テープの保存状態も合わせて、おそらく最良の部類に属するものだろう。

確かに客席からの咳払いなどの雑音は聞こえるが、彼らのマナーのためか気にならない程度の最小限に留まっているし、また楽器ごとの分離状態も明瞭で臨場感にも不足していない。

コンセルトヘボウの洗練されたストリング・セクションやマイルドな木管やホルンの音色も良く捉えられている。

中でもラフマニノフは最も音質に恵まれていて精緻なオーケストレーションを聴き取ることができ、ワイエンベルクのピアノも華麗なテクニックでライヴ特有の高揚感を醸し出しているし、プロコフィエフも颯爽とした解釈の中にアンチェルの滾るような情熱が感じられる。

快活な活気に満ちた2曲のハイドンだが、オランダ放送フィルは、アンサンブルがやや弱いとしてもアンチェルの指揮に良く応えている。

一方フランクの交響曲は、こけおどし的な演奏に陥りがちだが、重心の低いオーケストラのあざとさのない巨大なスケール感には驚かされる。

ライナー・ノーツは日本語で、2枚目の最後に収録されている6分ほどのCBCのインタビューの内容も総て日本語訳が掲載されている。

アンチェルがカナダに亡命する直前の1968年7月にプラハで行われたもので、この時はまだチェコ・フィルとの関係も大切に保ちつつ欧米のオーケストラに客演していくという旺盛な音楽活動への意欲を示している。

しかし実際には僅か1ヶ月足らずでチェコ民主化運動『プラハの春』鎮圧のためにソヴィエトが軍事介入して、アメリカに演奏旅行中だった彼はアウシュヴィッツの経験から、再び同じことが繰り返されることを懸念して亡命を決意した。

彼の前任者クーベリックの亡命が1948年なので、チェコ・フィルは全盛期を迎えながらまたしても大黒柱の指揮者を失うことになった。

クーベリックは長いチェコ不在の後1990年にチェコ・フィルとの再演を果たしたが、アンチェルは亡命直後の1969年のプラハの春音楽祭に出演した以降は、再び故郷に戻ることなくカナダで亡くなっている。

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classicalmusic at 20:25コメント(0)アンチェル | フランク 

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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