2018年09月16日

音源の選択に工夫が欲しかったシェリングの協奏曲集


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ユニヴァーサル・イタリーの企画によるヘンリク・シェリングのヴァイオリン協奏曲集を中心に編集された13枚で、彼の演奏をまとめた初めてのバジェット・ボックス化は歓迎したい。

ただシェリングはこれらの曲を再三録音しており、音源の選択にいくらか安易なところがあるのが玉に瑕だ。

多くの曲目がハイティンク、コンセルトヘボウとの協演で統一されていて、例えばベートーヴェンは一番入れて欲しかったハンス・シュミット=イッセルシュテット、ロンドン響との演奏は同じ傘下のフィリップス音源であるにも拘らず何故か組み込まれていない。

ブラームスやメンデルスゾーンではドラティ、ロンドン響のマーキュリー音源が加わり、協奏曲の他にチャールズ・ライナー伴奏の小品集も収録されているが、それらはマーキュリーのリヴィング・プレゼンスのセットで総て復活している。

むしろ現在入手困難になっているバルトーク、ヴィエニャフスキ、シマノフスキ、ジャン・マルティノンなどの協奏曲を加える続編を企画してよりインテグラルな演奏集になることを期待したい。

シェリングは戦後メキシコで教育活動に専心していたが、彼の才能に驚嘆したルービンシュタインとの歴史的邂逅を機に、世界的活躍を繰り広げた(1988年3月2日に西ドイツのカッセルで69歳で急逝)。

ところが1970年代に入ると精彩を欠いた杓子定規で面白みのない演奏になるというのが大方の評論家あるいはクラシック通の指摘するところだが、筆者自身はそうは思わない。

バロックから現代に至る幅広いレパートリーをいずれ劣らない高い水準で弾きこなす自己の演奏に対する厳しい精神性とテクニック、そしてその演奏から滲み出るダンディズムは賞賛されるべきだろう。

気品溢れる美音、フレージングの美しさ、技術的な正確さ、静かに燃え立つ情熱、思索に富み作品の本質を射抜く表現、いずれもシェリングのかけがえのない美質である。

確かに1950年代から60年代にかけて彼の表現は常に攻勢で覇気に満ちたものだったが、円熟期に入ると欠点を出さない守勢に回っていくことは否めない。

しかし一方でルービンシュタイン、フルニエ、ケンプなどと組んだアンサンブルでは協調性に長けた素晴らしい演奏を遺していることも忘れることができない。

フィリップス及びマーキュリーの音源はいずれも鮮明で、古い録音ではごく僅かなヒス・ノイズが聞こえるが演奏の音質自体は極めて良好。

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classicalmusic at 20:35コメント(0)シェリング  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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