2018年09月18日

ブーレーズ、反体制的抵抗のピリオド


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ライナー・ノーツのデザインがフランス・アコールからリリースされた『ル・ドメーヌ・ミュジカル』10枚組ボックスと同様だが、こちらはプラガ・ディジタルスからの単独盤で、2016年1月に90歳で逝去したピエール・ブーレーズが30代に行った20世紀の作曲家の作品演奏をライヴ、セッションから6曲ほど収録している。

この頃のブーレーズは作曲家としても前衛的な活動をしていて、その一端は自作自演『水の太陽』にも発揮されているが、それぞれの曲の解釈は鋭利に研ぎ澄まされた刃物のようで隙がなく、音響に対する感覚も常に鮮烈で覇気に貫かれた再現を指向していた。

そうした反体制的な主張は、それまでの音楽の世紀末的な趣味から完全に切り離された20世紀のクラシックの覚醒を促すような強い使命感に導かれていたと言えるだろう。

その意味でこの時代のブーレーズの演奏は、すっかり好々爺になり抵抗感が影を潜めてしまう後のドイツ・グラモフォンへの録音に優っている。

第1曲目のストラヴィンスキーの『ナイチンゲールの歌』はロイヤル・コンセルトヘボウを指揮したものだが、鮮やかな色彩感に満ちた新時代の交響詩を具現している。

またバルトークのヴァイオリン協奏曲第1番は同オーケストラとユーディ・メニューインの協演になり、作曲家の意図を忠実に汲み取ったメニューインの充実したソロが聴きどころだ。

ちなみにメニューインはバルトークとの交流から無伴奏ソナタを委嘱、初演している。

一方ドビュッシーの舞踏詩『遊戯』や自作の『水の太陽』からも明らかだが、それまでのフランス音楽の方向性を一新する、一切の感傷を排した精緻で冷徹な読み込みに張り詰めた緊張感が与えられている。

そこにはもはや伝統的なフランス趣味の陰翳や曖昧模糊とした掴みどころのなさはすっかり消え失せている。

前半の3曲はアムステルダムに於けるライヴ録音だが、セッションに匹敵する即興の余地を残さない徹底した指示と洗練が特徴で、音質も極めて良好だ。

後半の3曲はスタジオ録音になり、ストラヴィンスキーでは自ら主宰したル・ドメーヌ・ミュジカルの生命感溢れるアンサンブルが当時の彼らの意気込みを示している。

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classicalmusic at 20:02コメント(0)ブーレーズ | メニューイン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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