2018年09月28日

ドイツ・ロマン主義の音楽として捉えたドヴォルザーク


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ドヴォルザークの交響曲全集にはクーベリック、ベルリン・フィルの華麗な演奏もあるが、それに比較してスウィトナー指揮するシュターツカペレ・ベルリンは特に管楽器系の音色に独特の渋みがあり、それほど輝かしい効果は上げていないし、またノイマン、チェコ・フィルの熱烈な愛国主義に根ざした民族的な発露があるわけでもない。

しかし彼らにはドイツの職人気質が育んだ修錬の技とロマン主義の伝統がある。

この交響曲全集が録音された1970年代は、まだシュターツカペレは東ドイツに属していて、かえって伝統的なドイツのオーケストラの質実剛健な音色と、オペラで鍛えた確実に統制された機動力を誇っていた。

スウィトナーはドヴォルザークの交響曲を賢明にもドイツ・ロマン主義の音楽として捉え、緻密でバランスのとれた普遍的な表現を心掛けている。

全曲を通して、スウィトナーの演奏は、旋律をしなやかに歌わせ、ドヴォルザークの交響曲を見事な平衡感覚で再現しており、適度に劇的であるが誇張のない表現でアンサンブルもよく整っている。

どの曲もドイツの古典交響曲を演奏するのと同じ姿勢で着実にまとめられ、しかも温かみのある音楽に仕上がっている。

インスブルック出身でクレメンス・クラウスに師事したスウィトナーは、決して堅物で厳格な指揮者ではなかった。

この交響曲集でもウィーン風の垢抜けたセンスとドイツ的な律儀な音楽設計を併せ持ったロマンティックな表現が巧みで、第4番の第2楽章にそうした傾向が顕著だが、また第8番や第9番の終楽章で聴かせるスペクタクルでいて、手に取るようにコントロールされたオーケストレーションの端正な再現は彼の典型的なスタイルだ。

特に第8番は数多いレコードの中でも屈指の好演で、温かい親密度が表現いっぱいに溢れ、人間のもう1つの側面の豊かな楽しみに聴き手を包み込んでくれる演奏。

全ての楽想が、その表情を存分に解放されて、のびやかに生命感を描き出しているし、しかも少しももたれることなく美しい流動感をもって柔らかい盛り上げをつくっている。

楽器のバランスにみる微妙な美しさ、オーケストラも何とうまいことか。

次いでは第3番と第6番がすぐれた演奏で、スウィトナーらしく、いささかも誇張のない表現で、ドイツ・ロマン派の交響曲にも通じる堅実な構築美を作っている。

第9番は確信に満ち、どっしりと腰の坐った大きな実に堅実な表現で好ましく、耳につきすぎるこの曲も、ふだんと違った大交響曲の偉容をもって迫ってくる。

スウィトナーの抒情的な資質も端的に表れており、旋律線を情緒豊かに、ふくよかな響きで歌わせ、明るさを帯びた軽やかな流動感がある。

この指揮者特有の柔らかい音楽のこなし方の上に、毅さ、激しさも加え、しかも一貫して流れゆく流動感はいっそう豊かである。

第2楽章の有名な主題は極めて沈潜的な深い心情を湛えて歌いつくされ、中間部は華やいだ色彩で盛り上げる。

誇張こそないが情熱にも不足しない音楽本来の美しさを味わえるのがこの全集の最大の魅力だろう。

ドイツ・シャルプラッテンによる1977年から81年にかけて旧東独のベルリン・イエス・キリスト教会に於けるアナログ録音だが、音質は優れていて各楽器の配置と楽器間の音の分離状態も明瞭。

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classicalmusic at 20:06コメント(0)ドヴォルザーク | スウィトナー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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