2018年10月29日
ランパル・コンプリート録音第3巻、円熟期のエラート音源より
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ジャン=ピエール・ランパルのHMV及びエラート音源の集大成全4巻計69枚のCDのうち、2015年の春にリリースされた2セットに続く後半の2セットのひとつになる。
第1巻から第3巻まではクロノロジカルな編集がされていて、この23枚組にはランパル円熟期の1970年から82年にかけてのステレオ録音がまとめられている。
今回発売されたランパル全集中で、録音も新しく枚数も一番多いボックスになるが、クロエ、ルクレール、ブラヴェ、メルカダンテ、ジアネッラといったあまり著名でない作曲家の作品が数多く含まれている。
バッハやモーツァルトの有名な曲は3回位録音し、音楽史上残されたあらゆる作品を片っ端から録音していく姿勢は、同世代のトランペットの名手モーリス・アンドレと相通じるものがある。
音質も4巻の中では最も良く、全体的に中音部がやや薄い欠点はあるが、音源の保存状態も良好だ。
フルート奏法の芸術的な洗練はマルセル・モイーズを抜きには語れないが、モイーズが去った後のフランスのフルーティストの系譜を鮮やかに更新したのがランパルであることは間違いないだろう。
彼のフルートは奇しくもモイーズの詩的で、ある種哲学的なスタイルとは一線を画した屈託のない即興性と華麗な音色が魅力だ。
1970年代のランパルはまさに絶頂期で、テクニック、音楽性、音色が最高レベルでかみ合っていて、クヴァンツやレクレールといったシンプルな音楽が、愉悦に満ちている。
こういう音楽を生き生きと聴かせるのは存外難しく、ランパルを否定する笛吹きも多いのだが、ランパル以上にこういった作品を聴かせるフルーティストがいないのではないか。
ランパルのほとばしる音楽性と芳醇な音色が、音楽の愉悦を与えてくれるし、鳴らすまで8年かかったというヘインズが神がかり的な音で響いている。
また、ハチャトゥリアンの協奏曲や一世を風靡した『ハンガリー田園幻想曲』、『ヴェニスの謝肉祭』に代表される彼の情熱と天衣無縫さの背後にはそれを裏付けるだけの理論とテクニックが控えていることは言うまでもない。
それぞれのジャケットにLP初出時のオリジナル・デザインがプリントされているが、CD化でのリカップリングでものによっては3種類のが1枚のジャケットに組み合わされて印刷されている。
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