2018年11月04日
待望のシェリング大全、ユニヴァーサル傘下の総ての音源を網羅
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2年前ユニヴァーサル・イタリーから協奏曲を中心としたシェリング初のアンソロジー13枚組がリリースされたが、選曲にランダムなところがあって必ずしもコレクターのニーズに叶った企画ではなかったことが弱点だった。
今回は彼の生誕100周年にあやかってフィリップス、マーキュリー及びドイツ・グラモフォン音源が網羅された44枚のボックスに集大成された。
音質も当時互いに鎬を削っていたメーカーのステレオ録音だけに、それぞれ特徴があって決して一様ではないにしても極めて良好な状態で鑑賞できる。
勿論このセットでは協奏曲だけでなく、彼の2回目のバッハの無伴奏、ヴァルヒャと組んだヴァイオリン・ソナタ全6曲やドレフュスのチェンバロ伴奏によるヘンデルのソナタ集、へブラーとのベートーヴェン、モーツァルト及びシューベルトのソナタ集、更にはケンプ、フルニエとのベートーヴェンのピアノ・トリオ全曲など当時最高のラインナップによるアンサンブルでも多彩な活躍をしたシェリングの実力が縦横に示されている。
また彼が決して四角四面の堅物のヴァイオリニストではなかったサンプルとしては、チャールズ・ライナーやマイヨールのサポートによるクライスラーその他の魅力的な小品集3枚で気の利いた演奏に親しむことができる。
それらはパリ時代のサロンでの寵児だった頃の若き日のシェリングを髣髴とさせる。
協奏曲ではハンス=シュミット・イッセルシュテツト、ロンドン交響楽団とのベートーヴェンが白眉だ。
第1楽章のヨハヒムの手になる長大なカデンツァを最初に聴いた時の感動を忘れることができない。
純正調の完全五度は無類の力強さで響き渡っていて、この作品のシンフォニックな性格を決定的にしているし、また作品全体から見ても突出しているような違和感がない。
ピアノ・トリオに関しては1987年にベートーヴェン・エディションがリリースされて以来の全曲復活で、室内楽を愛する人にとっては欠かすことのできないコレクションになるだろう。
尚ライヴに強かったシェリングが、その情熱と気迫を伝えたライヴ録音や映像はオルフェオ、スプラフォン、ドレミや米ブリッジなどから少なからずリリースされているが、これらをひとつのセットに纏めることは殆ど不可能に近い。
しかし彼はRCAソニー系にも第1回目のバッハの無伴奏を始めとしてかなりの量のセッション録音を遺していて、既に入手困難になっているディスクもあるので、そちらの音源もできれば高音質盤で集大成して欲しい。
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