2018年11月06日
ランパル・コンプリート・レコーディングの最終巻、ラヴィ・シャンカルとの協演は白眉
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最終巻はランパルがかつてのHMV傘下のレーベルに録音したCD16枚分のコンプリート・レコーディング集で、4巻の中では1951年から76年にかけての最も広い録音期間からの網羅的なコレクションになる。
多くはモノラル録音だが音源の状態は比較的良好で、第1巻より音質では優っている。
また彼は早くから室内楽にも情熱を傾けていたので、ソロに留まらずファリャ、ストラヴィンスキーやオネゲルなどのアンサンブル作品も豊富に含まれているし、僅かながらオーケストラの首席奏者や指揮者としての活躍も聴くことができる。
一人の名手の出現により、その楽器の歴史が大きく進歩・発展することは決して珍しいことではない。
古くはチェロのカザルスやギターのセゴビアの例が見出せるが、現代でもトランペットのアンドレ、オーボエのホリガーなど、真のヴィルトゥオーゾが楽器の歴史に新しい1ページを与えるとともに、音楽に対する見方そのものすら塗り替えてきた。
1922年、フランスのマルセイユに生まれたジャン=ピエール・ランパルも、20世紀の器楽界に大変革をもたらした音楽家で、戦後のフルート界を大きく変えた巨匠である。
確かに、ランパル以前にも、マルセル・モイーズのように現代のフルート奏法の完成者と言われる巨匠は存在した。
しかし、ランパルの影響力はフルート界にとどまらない広範囲なものであり、音楽界全体に彼の存在が大きな影響を与えたのだった。
それは、稀にみる豊麗な音色と卓越したテクニックを誇る技巧派としての素晴らしさ、バロックから現代の作品に至るレパートリー面の柔軟性、そして洗練された音楽性など、まさに尽きることのない魅力に溢れたものである。
しかも、ランパルのフルートは、従来のフルート演奏からは考えられないほどにダイナミックな表現力を誇るものであり、ランパルの世界はまさに従来のフルート演奏の常識を覆す多彩な魅力で楽壇に衝撃を与えてきたのである。
ランパルの出現により、フルート音楽に対する見方は大きく変わった。
フルート音楽は、それまでの限られたファンにとどまらず、多くの人々にとって、最も身近なものになったと言ってもよいであろう。
ランパルは新しい試みにも意欲的だったが、CD15のラヴィ・シャンカルとの協演は筆者のよく聴く演奏のひとつだ。
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