2018年11月10日
プロコフィエフ初期の作品集
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ワーナー(旧EMI)20世紀クラシックス・シリーズでは、これまでにプロコフィエフの作品集だけでも3セット、都合CD6枚分の録音をリリースしている。
このセットでは主として協奏曲を中心に管弦楽、ソロ、アンサンブルとバラエティーに富んだ編集になっている。
勿論収録曲目は過去にシングルで出たもののリカップリングになるが『古典交響曲』はエフレム・クルツ指揮、フィルハーモニア管弦楽団による1957年のセッション、またチェロ協奏曲ホ短調がシュタルケルのソロ、ワルター・ジュスキント指揮、フィルハーモニア管弦楽団による1956年の歴史的録音2曲を含んでいる。
特に後者はパガニーニばりの重音奏法やフラジオレットが執拗に続出する超絶技巧が用いられているために、シュタルケルのような名人によって初めてその真価が問われるようになった曲だ。
他の協奏曲ではアルゲリッチのソロ、シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団による1997年のピアノ協奏曲第1番がエキサイティングな緊張感の中にも、絶妙な調和を聴かせていて秀逸。
またフランク・ペーター・ツィンマーマンのソロ、ロリン・マゼール指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による1987年のヴァイオリン協奏曲第1番も当時22歳だったツィンマーマンのフレッシュな感性と、確実なテクニックが活かされた演奏だ。
ソロではミシェル・ベロフが全盛期だった1981年の『束の間の幻影』が興味深い。
彼はつかみどころのない幻影ではなく、むしろ輪郭のはっきりした白昼夢的なファンタジーを曖昧さのない明瞭なタッチで表現しているのが特徴的だ。
その他管弦楽曲ではリッカルド・ムーティ指揮、フィルハーモニア管弦楽団のコンビによる1977年の『シンフォニエッタ』イ長調がこの曲の魅力を良く引き出した演奏で、現在それほど頻繁に取り上げられる曲ではないが、プロコフィエフの他のオーケストラル・ワークに決して引けをとる作品ではないことを証明している。
大らかで流麗な表現がプロコフィエフには珍しく晴れやかで快活な雰囲気を出していて、いかにもムーティらしい。
またサイモン・ラトル指揮、バーミンガム市交響楽団による1992年の『スキタイ組曲』も彼ららしい律儀な演奏で悪くないだろう。
一方アンサンブルではベロフのピアノ、ミシェル・ポルタルのクラリネット、パレナン弦楽四重奏団による1974年のセッション『ヘブライのテーマによる序曲』が最後に入っている。
一連のユダヤの音楽を取り入れた余興的な短い曲で、おどけたような音形とリズムが面白い。
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