2018年11月30日

ノイマン、チェコ・フィルのライフ・ワーク、ドヴォルザークの交響曲全集


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チェコ・スプラフォンが2012年にデジタル・リマスタリングのリニューアル盤として復活させたのが、この8枚組のオーケストラル・ワーク集だ。

録音データの内訳を見ると『交響的変奏曲』が1968年、9曲の交響曲が71年から73年、4曲の交響詩が77年、3曲の序曲集が80年で、それぞれの曲集ごとに比較的短期間に集中して録音されている。

つまり単発的なセッションの寄せ集めではなく、ノイマン&チェコ・フィルのライフ・ワークとしてのポリシーに基いた、極めて燃焼度の高いドヴォルザーク管弦楽曲集に仕上げられている。

その理由のひとつに68年の「プラハの春」でのソヴィエトの軍事介入によってチェコ国民の愛国心がいやがうえにも高揚していた時期と重なっていたという事情がある。

こうした政治的背景が彼らの2回目の交響曲全集録音時に比較して、遥かに高いモチベーションとなっていた筈だ。

しかもラファエル・クーベリックとカレル・アンチェルの2人の常任指揮者の相次ぐ亡命という異常事態を受けて古巣に戻ったノイマンは、チェコ・フィルを救わなければならないという逼迫した状況にさらされていたと同時に、彼らとの新時代を築こうとする意気込みも強く感じられる。

ノイマン&チェコ・フィルによるドヴォルザークの交響曲全集は3種類あり、これはその最初のもので、70年代、80年代、90年代とほぼ等間隔であたかも自己確認をするかのごとく録音をしているが、本全集はノイマンのいわば所信表明的なアルバムとして格別の趣がある。

両者の関係は既に爐海覆譴騰瓩い董同フィルに就任(68年)してから取り組んだ大きな達成目標としては充分な成果である。

ドヴォルザークの交響曲は、ワーグナーやブラームス、西欧的アカデミズム、そして露骨な民族主義など多様なスタイルが見て取れるが、ノイマンはこの最初の演奏から既に揺るぎないスタンスと解釈で綿密に対応していることがよくわかる。

録音は総てプラハにある「芸術家の家」ルドルフィヌムのドヴォルザーク・ホールで行われた。

1885年開場の歴史的コンサート・ホールで、現在でもチェコ・フィルの活動拠点にもなっているが、堂々たる風格の建築と内部の残響が潤沢なことでもヨーロッパを代表する演奏会場に名を連ねている。

このCDセットでもチェコ・フィルの長所でもある明るい弦の響きの瑞々しさとオーケストラの軽快な機動力が充分に捉えられている。

幸いスプラフォンの技術水準の高さも今回の新しいリマスタリングで実証される結果になった。

自然で柔軟な音質が彼らのセールス・ポイントだが、アナログ録音の特性を活かした、この時代のものとしては極めて良好な音質が得られている。

ブックレットは35ページで、曲目紹介、録音データの他に、ドヴォルザークの年代を追った作品の作曲過程の解説を英、独、仏、チェコ語で掲載。

このドヴォルザーク作品集シリーズでは既に弦楽四重奏曲集(SU3815-2)、室内楽曲集(SU3921-2)及びピアノ作品集(SU4018-2)などスプラフォンならではの充実したセットものがリリースされている。

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classicalmusic at 01:23コメント(0)ドヴォルザーク | ノイマン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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