2018年12月02日
スプラフォンの切り札的音源、ドヴォルザーク・シリーズ第5巻
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チェコ・スプラフォンが順次リリースしているドヴォルザーク作品集シリーズの第5巻目にあたり、今回は既刊の9曲の交響曲を除いたその他のオーケストラル・ワークと彼の協奏曲全4曲を収めた興味深いものだ。
このシリーズの特徴は総ての曲目をチェコ勢で固めた、良い意味での国粋主義的な演奏が楽しめることで、スプラフォンが持っている切り札的音源を最新のリマスタリングとリーズナブルな価格で提供している。
このセットで唯一の例外はサー・チャールズ・マッケラスだが、彼もプラハ留学の経験を持つターリヒ門下の指揮者だ。
いずれにしても民族的な趣向を凝らした作品が多く、本家の自負と余裕を感じさせる頼もしい演奏内容が最大の魅力になっている。
尚このセットに入っていない3曲のコンサート用序曲及び4曲の交響詩と交響的変奏曲は前回の交響曲全集の方にカップリングされている。
既にスタンダード・ナンバーになっているノイマン、チェコ・フィルのスラヴ舞曲集全16曲に始まり、スークのソロと同メンバーによるヴァイオリン協奏曲イ短調などのトップ・クラスのレベルを誇る8枚のCDは、それぞれのシングル盤を集大成したものでドヴォルザークの魅力を満載している。
注目されるのはチェロ協奏曲ロ短調ではソリストはフッフロではなく、1976年のサードロとのセッションが選ばれていることで、ここでは珍しくもう1曲のチェロ協奏曲イ長調も取り上げている。
スラヴ舞曲全曲は、ノイマンとチェコ・フィルにとって日常的なレパートリーだけに、さすがに手慣れた演奏で聴かせる。
彼らが舞曲として肌で感じ取っているものが、音楽の姿をかりて多様に表出されている。
ただ、ノイマンはここで独自の版選定を行い、細部のオーケストレーションについてはオリジナル通りではない。
彼がいわゆるヴィルトゥオーゾ時代の指揮者の流れを汲んでいるためだろう。
ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲はやはりスークが一番だ。
1つ1つの音が完全に身についており、自分の音楽として表現しているからである。
激しい生命力や訴えかけ、懐かしい愛情のほとばしり、暖かい親しみ、チャーミングな節まわしが、豊かな郷土色と一体化して聴く者の心に涙をにじませるのだ。
ノイマンの指揮は音楽を意味深く語りかけつつ、美感を保持した見事なもの。
音質はリマスタリングの効果もあって極めて良好。
ライナー・ノーツは34ページで演奏曲目、録音データの他に英、独、仏、チェコ語による解説付。
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