2019年01月09日
知性を感じさせる俊英フルシャ、SACDによるバンベルクとの新シリーズ
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2016年にバンベルク交響楽団の首席指揮者に就任したチェコの俊英ヤクブ・フルシャがブラームスとドヴォルザークの交響曲集の制作に着手した。
その第1集が両作曲家の最後の交響曲を2枚のハイブリッドSACDに収録した当アルバムで、ディスクの音質の良さもさることながら彼らの一糸乱れぬアンサンブルとオーケストラの音響の見事さが傑出した演奏だ。
バンベルクはベルリン・フィルのようなスター・プレイヤーの華麗なサウンドで魅了する楽団ではないし、ここで感知されるようにむしろ首席奏者達の音色は地味な方だ。
しかしながらフルシャの創り出す混濁のない精緻なハーモニーの美しさはドイツの中堅オーケストラとしてはおそらくトップ・クラスだろう。
彼らが是非この新企画を完成させてくれることを期待したい。
SACD化によって高音の伸びが非常にきめ細かく再生される。
特にトライアングルの繊細で軽やかな響きが心地良い。
録音データを見て驚いたのは、ドヴォルザークは筆者自身が偶然予約していた一昨年秋のコンツェルトハレでの定期演奏会のライヴ録音で、当日聴いた演奏がテイクされていたことだ。
その時はフルシャのもうひとつのお国物、スメタナの『モルダウ』がプログラムに入っていた。
彼は若手であるにも拘らず覇気で通すタイプではなく、オーケストラに隅々まで計算された丁寧な指示を与え、しかも第1楽章第2主題で大胆なラレンタンドをかけるなど自由闊達なドヴォルザークを表現しているという印象で、それは彼らの緊密なコラボの賜物だろう。
一方ブラームスの方は同年5月の収録で、こちらはセッションのようだ。先ず冒頭の瑞々しくしなやかなサウンドに耳を奪われる。
端正でかなり几帳面だが冷徹さはなく柔軟な音楽性に特徴があり、ブラームスにしては辛気臭くない明るい演奏だ。
第2楽章で聴かせるカンタービレや第3楽章での歓喜、終楽章の堂々たるパッサカリアには絶妙な節度がある。
このあたりにもフルシャの知性的でモダンな解釈が窺われ、将来への期待が持たれる有望な指揮者であることが理解できる。
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