2018年12月06日

室内楽的軽快さ、モーツァルトの管楽器のための協奏曲集


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1曲目のクラリネット協奏曲を聴いて、イタリアにもこれだけ優れたクラリネット奏者がいたのだということを改めて認識した。

勿論アレッサンドロ・カルボナーレはフランスのオーケストラで15年に亘って修行した経歴を持っているので、彼のテクニックはフランス的な奏法に多くを負っていると言えるだろう。

カルボナーレのクラリネットは呼吸をするような極めて滑らかなカンタービレが基本で、しかも精緻だが神経質にならない大らかさと柔軟さがある。

第2楽章の、ややドライだが歌心に溢れた憂愁の美の表出と、再現部でのピアニッシモは感動的だ。

また急速楽章とのテクニカルな小気味良いパッセージの対比も鮮やかで、全く破綻のない品の良い仕上がりはライヴ録音であることを考えると完璧な演奏だ。

アバド指揮するモーツァルト管弦楽団の響きは比較的薄く、室内楽的な軽快な雰囲気を出している。

ピッチはa'=440Hzの現代ピッチを採用しているが、コンサート・マスター、カルミニョーラの指導によるヴィブラートを抑えたピリオド奏法をとっているために特有の透明感が感じられる。

このあたりにも晩年のアバドの折衷様式の模索とその実践が示されている。

一方フルート協奏曲のソロはオランダのベテラン、ジャック・ズーンで、楽器は自ら改良を加えたへインズのズーン・モデルを使用している。

本体は木製なので金属管のフルートに比べると輝かしくはないが、そのソフトで奥ゆかしい音色を活かした古典趣味の再現が工夫されていて、気の利いたカデンツァもこの曲に生気を与えている。

この作品は作曲期限に間に合わなかったモーツァルトが自作のオーボエ協奏曲を移調したものに過ぎないが、フルートで演奏してもこれだけ効果が上がること証明していて興味深い。

最後のファゴット協奏曲はギヨーム・サンターナの演奏で、彼はフランスの管楽器奏者らしくオープンで暖色系の音色が特徴だが、抑制された節度を持った表現が美しい。

アバドの要求かも知れないが、音を伸ばすときはヴィブラートを控えて、ともすると厚かましく鳴りがちな楽器を周到にコントロールする腕が注目される。

録音データを見るとクラリネット及びフルート協奏曲が2006年のライヴで、ファゴット協奏曲は2009年のセッションになる。

アバドは2004年に自ら組織したモーツァルト管弦楽団と共に、新しい解釈によるモーツァルトを中心とするオーケストラル・ワークや協奏曲を意欲的にリリースして、その新境地を披露した。

これまでに演奏されたモーツァルトの管楽器のための協奏曲を見ると、オーボエ協奏曲ハ長調K.314と本来フルートのために書かれたト長調K.313の2曲が漏れている。

これらの2つの作品についても彼らの演奏に期待していたが、前者はマドリードでのライヴが発売されたものの、後者はアバドの死によって果たせなかった。

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classicalmusic at 01:44コメント(0)モーツァルト | アバド 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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