2019年01月05日

着実に進められたアバドのモーツァルト管楽器の為の協奏曲シリーズ


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クラウディオ・アバドは晩年、自ら結成したモーツァルト管弦楽団の首席奏者を起用し、モーツァルトの管楽器の為の協奏曲シリーズを継続して録音した。

その第1弾がアレッシオ・アッレグリーニとのホルン協奏曲全曲で、既にこのディスクに先立ってリリースされている。

今回はモーツァルトのパリ滞在時代の代表作『オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンとオーケストラの為のシンフォニア・コンチェルタンテ変ホ長調』K.297b及び『フルートとハープの為の協奏曲ハ長調』K.299の2曲が、2008年のライヴから採られている。

アバドの音楽作りの特徴は軽快なテンポを維持して、モーツァルトの曲想の若々しさを強調していることだろう。

またこのシリーズでの演奏には総てにピリオド奏法を取り入れ、彼のイメージする新しいモーツァルト像を披露している。

若手のソリスト達には巨匠的な個性や面白みはこれから期待するとしても、アバドの意思を誠実に再現する意欲に満ちていて、彼の細やかな指示が隅々まで行き届いた整然としたアンサンブルを聴かせてくれる。

このモーツァルト管弦楽団では、アバドが招聘したベテラン奏者にオーケストラの要所を受け持たせ、その傍らに配置された若手の演奏家に、彼らとのアンサンブルを通して直接的な音楽体験の場を提供している。

その筆頭がヴァイオリンのカルミニョーラやフルートのズーンであり、ホルンではアッレグリーニだ。

今回の『フルートとハープの為の協奏曲』では、ハープは若手のレティーツィア・ベルモンドに委ねられているが、フルート・ソロはズーン自身が担当している。

彼の楽器の音色を聴いてすぐに気付いた方もいるかもしれないが、自ら改良を加えたハインズ製のベーム式木管フルートを使っている。

彼はコンセルト・ヘボウやボストン交響楽団の首席奏者を歴任しているが、旧知のアバドの招聘でこのモーツァルト管弦楽団の主席フルーティストも務めている。

更に同作曲家のオーボエやフルート、そしてクラリネットの為の協奏曲などがリリースされており、いずれもハズレがなく、伸びやかで、春の風のような爽やかな名演だ。

尚、このシリーズは音質も鮮明で極めて良好。

アバドは個性が弱いと評されることもあったが、作品の良さを高いレベルで表現する手腕は、巨匠の名に相応しい。

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classicalmusic at 22:33コメント(0)モーツァルト | アバド 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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