2018年12月22日
春風のような爽やかさ、アッレグリーニとアバドによるモーツァルトのホルン協奏曲集
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イタリアのホルン奏者、アレッシオ・アッレグリーニのモーツァルトのホルン協奏曲全集で、クラウディオ・アバドの企画した同作曲家の管楽器の為の協奏曲全曲録音の第1弾となった(未完)。
アッレグリーニは既にデビュー盤『ラ・グランデ・ファンファーレ』で、その高い音楽性と高度な技巧を堪能させてくれた。
これは彼にとってはそれに続く2枚目のアルバムで、正統的な解釈でありながら他のホルニストとは一味違った柔軟な個性を発揮している。
使用楽器はイギリスのパックスマンで、ふくよかな音色と彼の持ち味でもある屈託の無い大らかなカンタービレが特徴的だ。
またそれぞれの曲に簡潔だが目の覚めるようなカデンツァが付けられている。
それは勿論モーツァルトの様式に則ったものだが、効果的で思いがけない気の利いた贈り物だ。
オーケストラは古典的な小編成で、アバドの手兵でもあるために、彼のきめ細かい指示が良く活かされたサポートが聴き所だ。
オケの音色は明るく、やや線の細い典型的なイタリア風といったところだが、ピリオド奏法を取り入れた厚化粧にならない風通しの良い響きは簡素ながらモーツァルトのオーケストレーションの巧みさをよく捉えていて秀演。
アバドは晩年後進の育成に力を注いできたが、そのひとつが2004年に自ら結成したモーツァルト管弦楽団の養成だ。
このオーケストラは古典派の基本ともいえるモーツァルトを中心としたレパートリーを通じて、若い音楽家達にアンサンブルの習得を促し、また著名なソリストを招いて、豊富な音楽的体験の場を提供した。
今更ながらアバドの演奏を聴いていつも感じるのは、バランスが良く、伸び伸びとしていることで、作品の美しさをストレートに愉しませてくれる。
カラヤン同様、膨大な録音を遺しているにもかかわらず、どれもが豊かな音楽性が溢れ出ているのには驚く。
この演奏も春風のような爽やかさを感じさせて、モーツァルトを聴く愉しさに心が満たされるのが素晴らしい。
2005年から2007年にかけての録音で第4番変ホ長調のみ拍手が入っている。
レギュラー盤だが音質は極めて良好。
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