2019年01月17日

一期一会、ショパンの協奏曲


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マウリツィオ・ポリーニ18歳の録音で、ショパンの協奏曲ではコンクールの時のものを除けば、現在までに彼が残した唯一のセッションだ。

1960年のショパン・コンクールでは西側のピアニストとして初めての優勝という快挙を遂げた直後に行った録音で、オーケストラはパウル・クレツキ指揮のフィルハーモニア管弦楽団。

当盤は今なお優秀盤として高く評価されているが、この一事をもってしても、ポリーニの才能が群を抜いて高いものであったことがわかる。

それほどの彼が、コンクールから10年間も、いっそうの研鑽を積むため公開演奏の場に姿を見せていない。

沈黙の10年間にポリーニはその技巧と音楽を磨き上げたのだ。

ここでのポリーニは、18歳にして既に完成されたピアニストであることを示している。

作品に対する姿勢は理性的で、曖昧さを嫌い、納得のいくまで分析、その結果を音にする。

音は硬質で、明快、ここでもまた、曖昧さは完全に排除されている。

押さえがたい迸るような情熱に溢れていながら、ある意味での知的な冷徹さを併せ持った、その余りにも清冽な表現はショパンの音楽のひとつの究極の姿ではないだろうか。

確かにこの演奏は若き日のポリーニにしか聴くことのできないものだが、彼のその後の演奏を支配することになる、一音一音を徹底して粒立たせるメカニズムを駆使しながら歌いこんでいく奏法を既に会得していたことも理解できる。

ここに示された強靭でパワーのあるテクニックや明快な造形感覚に支えられた独特のメリハリの効いた表現は変わることのないポリーニならではの特徴であるが、ここでは巨匠と言われるようになった彼からは失われたみずみずしい新鮮さが溢れており、それがたまらない魅力を放っているのである。

ショパン弾きの彼がこの曲に二度と取り組まない理由は、おそらく彼自身これ以上納得のいく演奏ができないからかも知れない。

まさに一期一会が産み出した歴史的な名演であり、この第1番を健康的過ぎるとして避ける人もいるが、このように陽性で若々しく頼りがいがあるショパンも、フレッシュでよいのではあるまいか。

1980年代半ばから90年代にかけてのポリーニは、凄いピアニストだとは思うけれど、いくぶん倏困瓩覽霓有瓩箸い趣が無きにしも非ずだった。

勿論、芸術家によっては大いに悩むことによって生産性を増すというタイプもいるわけだけれど、ことポリーニに関しては、あまり悩みと関わり合っていない頃のほうがよい。

少なくとも筆者にとってはデビューした当時の彼の音楽性に、より魅力を感じる。

ここに聴くフレッシュな発想、直截で、屈託のない響き、ストレートな表現力などは、今聴いても若々しい矜持が溢れている。

更にこのCDには1968年に録音された6曲の小品が収められている。

それは長い沈黙の後、事実上彼の楽壇復帰のきっかけになった演奏で、これらは後に再録音もされているので後年の芸風との違いを聴き比べることができる。

ここでは、溌剌とした情感と冴えたテクニック、そして作品の隅々までに神経が行き届いた、見事に音楽的に若いポリーニのショパンが聴かれる。

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classicalmusic at 20:42コメント(0)ショパン | ポリーニ 

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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