2018年12月26日

珠玉の音色で聴くペライアのモーツァルト協奏曲集


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この12枚のボックス・セットは2006年に補足されたインテグラル版と全く同一のセッションで、その時に追加されたラドゥ・ルプーとの共演になる2台及び3台のピアノのための協奏曲も含まれていて、ピアノ協奏曲27曲と2曲のロンドが総てまとめられてリイシューされたことは評価したい。

マレイ・ペライアの弾き振りでイギリス室内管弦楽団とモーツァルトの協奏曲の録音が始まったのが1975年で、それ以来彼らは上述の2曲の協奏曲も含めると88年までかけて完成したのがこの全集だ。

これまでシングル・アルバムでも数曲ずつ、また全曲盤としても既に2回ほどリリースされているこの曲集の魅力のひとつはペライアが弾くソロの音色。

彼は自己の奏法に常に磨きをかけることを怠らないピアニストである。

楽器から零れ落ちるような潤いのある音色はそれ自体魅力的だが、音楽の流れが耽美的になることはなく、しっかりした古典的な形式感も感知させてくれる。

またオーケストラの自発的なサポートを活かしているとはいえ、隙のないアンサンブルを創り上げる指揮者としての力量も披露している。

ペライアの演奏は彼自身の人間性を映し出したような、屈託のない天真爛漫さとデリカシーを同時に持ち合わせている。

やや線は細いものの、どの曲も、きわめてまろやかで、繊細なタッチで美しく弾きあげており、モーツァルトの内面に迫った表現で、聴く人を感動させる。

その柔軟で明快なタッチと中庸を心得た恒久的な解釈は、現代においてとかくピアニストのテクニックの切れ味を前面に出した、やや冷めた演奏が多い中で聴き手の心を温め和ませてくれる。

考えてみればこれが本来の知性的な演奏ではないだろうか。

確かにモーツァルトの音楽はそのシンプルさゆえに多くの可能性を持っている。

しかし演奏家が多様な可能性を追究するあまり、音楽自体の整然とした形式感や明確な楽想が歪められて、結果的に恣意的で我儘な音楽になってしまう危険性も孕んでいる。

ペライアはこうした作曲家の根本的な作風に最大限敬意を払い、その中で彼の豊かな音楽性を発揮した演奏で、理屈抜きで幸福感に浸ることができる数少ないサンプルと言える。

完全節約企画でライナー・ノーツ等は一切なく、また今回はDSDリマスタリングでもないことに注意。

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classicalmusic at 00:04コメント(0)モーツァルト | ペライア 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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