2018年12月28日

ヴァルヒャの遺産、バッハのオルガン音楽旧全集


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幸いなことにヘルムート・ヴァルヒャはJ.S.バッハのオルガンのための作品全集を2度に亘って録音し、そのどちらもがかなり良い状態の音質で残されている。

この10枚組の全集はその第1回目、1947年から52年にかけてドイツ、リューベックの聖ヤコブ教会とカッペルの聖ペーター・パウロ教会の歴史的オルガンを使用したもので、前者は62のレジスターを装備した15世紀の大オルガン、後者は1680年に名工シュニットガーが製作した30のレジスターを持つ典型的なバロック・オルガンになる。

モノラル録音だが音質が素晴らしく、低音の響きも豊麗だ。

第2次世界大戦後、アルヒーフ・プロダクションが発足し、ドイツ民族のアイデンティティを再発見するために、バッハのオルガン作品全集を企画した際、演奏者に選ばれたのがヴァルヒャであった。

戦後間もない時期にこれだけの全集を制作したプロデューサーの意欲と、それに応えたヴァルヒャの努力には敬服する。

何故なら当時こうした企画は、決してそれに見合うだけの収入を見込めなかっただろうし、両者共にひたすら芸術的な観点に立って最良の作品を残したいという理想で一致していたと思えるからだ。

当時ヴァルヒャは40代前半で、フランクフルトの三賢人教会のオルガニストであり、また同地の音楽大学の教授として後進の指導にあたっていた。

しかもヴァルヒャは既にこの頃バッハの鍵盤音楽の全作品を、その驚異的な記憶力で暗譜していて磐石の態勢だったことも幸いしている。

彼の演奏はバッハの書法をこれ以上明確にすることができないと断言できるほど、対位法の各声部を明瞭に感知させてくれる。

彼の解釈は、作品を構成する1つ1つの音型、動機、楽句の意義を的確に(本能的といってよいかもしれない)とらえ、それを1つの有機体に再構成して生命を与えている。

戦後ドイツの大都市のめぼしいオルガンは爆撃や戦火によって使用可能な状態ではなかったことが想像されるが、北ドイツのこの2つの都市のオルガンは奇跡的に健在だった。

オルガンの澄んだ明快な響きとヴァルヒャの解釈によって、音楽と楽器の稀にみる一体感を生み出している。

尚4曲のチェンバロのためのデュエットでは、例によってアンマーが使用されている。

ヴァルヒャはバッハの他にブクステフーデを中心とする何人かのドイツ系の作曲家のオルガン作品を、CDにして2枚分ほど録音している。

演奏記録を見ると、他の作曲家のレパートリーもあったようだが、彼の研究の中心は何といってもバッハで、2種類のオルガン音楽全集と唯一のチェンバロ曲集に彼の生涯を捧げた仕事が集約されていると見做すことができるだろう。

このセットはメンブラン・レーベルからのリイシューで、廉価盤のためライナー・ノーツは省略されている。

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classicalmusic at 00:03コメント(0)バッハ | ヴァルヒャ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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